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音の科学的理解

タイトル

サブタイトル

内容

音の理解

音=波  〜音は空気の波なんだ〜

サインカーブによる音の理解

音の3要素 〜音量・音程・音色〜

音量=振幅・振動数=音程・波形=音色

音程 

音が合う(合わない)ということ

2人以上の音は、波の足し算(合成波)

音程と音量〜小さな力で大きな音を出す〜

互いの音で助け合い、足の引っ張り合い

きれいな音(澄んだ音)と音程の関係

きれいな音は見た目もすっきり

コマを回すと音程が目で見える  音程のずれを簡単に目で見る方法!

チューニング

チューニングって何を合わせる?

チューニングは音程を合わせるのではない

チューナーはチューニングの道具ではない

チューナーは楽器の癖を見抜く道具

B♭の音は440Hzではない

基準音とその他の音の関係

音ではなく「波」を合わせる

うなりと周波数の関係

波を合わせる練習方法

まっすぐな定規はふにゃふやしている

正しい階段を上り下り〜スケールの重要性〜

調が変わっても、階段は変わらない

まずは頭の中をチューニング

頭の中の音に合わせる

音の出だしで合わせる

出だし以外の音程を合わせるのは、チューニングではない

ハーモニーディレクターよりもきれいに合う!

音色(波形)と倍音のなせる業

チューニング時間は、1人1秒以上要らない!

2分以内でバンド全体のチューニング!

音形

音形の重要性 〜音形は「たあん」〜

音を常に目で見て確認!

出だし(アタック)の難しさ

慣性の法則を理解する

音の中身(コア)の充実

スカスカの弁当おかずは、ぐちゃぐちゃになる

音の終わり(リリース)の大切さ

いい女は後姿が美しい・・・ん?

音形と音量(豊かな響きの時間)

正しい音形は豊かな響きの原因!

和音

毛虫にもわかる純正律と平均律の違い

難しいことは抜きにしましょう

5度の重要性と3度の色づけ

完全音はきれいな素肌、3音は化粧

純正律より響く和音

倍音と共鳴

純正律より響く和音より響く和音

人間の錯覚と響きの絶妙さ

音の長さとフレーズ

 

肺活量には関係しない音の長さ

音は短くても長く聞こえる!

フレーズのつながり

上手い人ほどよくサボる

いい曲はスカートめくりすれば分かる!

ダメな曲は白いパンツを履いている!

 植物が教えてくれるフレーズ感  音の長さややフレーズ感を間違うと曲は枯れちゃうよ!
 速くて細かな音符は「きゃりーぱみゅぱみゅ」 きゃりーぱみゅぱみゅがあなたのバンドを上手くする!

音の流れとテンポ

なぜ出だしがずれるのか?

じいちゃんのカラオケは、出だしが合わない!

白と黒のバランス(楽譜は書道だ)

音を表しているのは音符じゃない!

テンポが揺れる曲での出だしはどこ? 打点のない指揮は「あんだがたどこさ!
 世界中のメトロノームは間違っている? メトロノームは見ちゃいけない!!

音速と響き

音のスピード

音は遅い!同じタイミングでは出だしは合わない!

なぜ後半の団体が有利なのか?

ホールの温度と音速の関係

 音色  無い楽器の音は、こうすれば聞こえる!  大事なのは音程、あとは実験あるのみ!



 


音=波  〜音は空気の波なんだ〜 サインカーブによる音の理解


音波という言葉からも分かるように、音=波(空気の振動)です。楽器の音は、唇やリード・弦などの振動が空気を振動させる(波を起こす)ことによって生じ、それが耳の鼓膜を振動させることによって、最終的には大脳の聴覚野というところで認識されます。ですから、いい音を出し上手な演奏をするためには、この音=波の性質について、ある程度理解することが大切です。つまり普段は見えない「音」を、目で見て頭で理解するのです。誰かを好きになるときに、普通はその人の声だけではなく、見た目も大事にするでしょう?人間は視覚から最も多くの情報を得る生物です。ですからまずは、この音を目で見て理解してみましょう。

 次の図を見てください。

これからたくさんのグラフが登場しますが、グラフの端から端までが1秒間だと思ってくださいね。

 

 これは1秒間(グラフの端から端まで)に5回の波が起こったことを表しています。波はX軸を中心に上下にうねりますが、1回の波=1回の上下のうねりになります。1秒間に5回のうねり(波)があるから、この状態を5ヘルツ(5Hz)と言います。チューニングをする音は、通常442ヘルツですよね。つまり普段はこの波が1秒間に442回生じている状態を基本としているのです。なんで442回かって?それを話すと長くなるので、やめておきますね。

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音の3要素 〜音量・音程・音色〜 音量=振幅・振動数=音程・波形=音色

さてここで、必要最小限の言葉を理解しましょう。次のグラフを見てください。

 

 波の高さのことを振幅といいます。この高さの違いが音量の違いになります。

振幅の大きさ=音量

 波の数(グラフの端から端までが1秒間だったことを思い出してくださいね)のことを、周波数といいます。この周波数(波の数)の違いが、音の高さの違い(音程)になります。

波の数の違い=音程

 音を機械でつくるとグラフのようにきれいな波ができますが、実際に楽器から出る音の波は、形がかなりギクシャクしています。次の図は、フルートでAの音を吹き、その波形をオシロスコープという機械であらわしたものです。

 

 このように、波の形の違いが音色の違いになります。

波の形の違い=音色

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音が合う(合わない)ということ 2人以上の音は、波の足し算(合成波)

 

「音=波」というイメージが、少しは沸いてきましたか?

それでは次に、音が合う(合わない)ということを、波(グラフ)で考えてみましょう。

 通常は数十人で合奏することが多いと思いますが、まずは2人で音を合わせることを考えてみます。AさんとBさんが全く同じ音程の音を出したとして、Aさんの音(波)を実線で、Bさんの音(波)を破線で表してみます。また、2人の音を合わせた音(それぞれの値の足し算=合成波という)を赤の実線で表します。 

 AさんもBさんも1という大きさの音(振幅)を出しているとすると、2人の音を合わせた音(合成波)の大きさ(振幅)は、1+1=2になります。「2人で演奏したら、1人の音より2倍大きな音になる!」ということです。 

ところが・・・

2人の音程が合わないときの波を書いてみると、次のようになります。 

 2人の音(赤)には、大きなところと小さなところが生じてしまいます。音程が合っているときには、2人の音を合わせた大きさは、1+1=2だったのに、音程が合わないと、お互いの音がそれぞれ打ち消しあってしまうため、2にはならないのです。

 これをもう少し細かい周波数(高い音)で見てみましょう。さっきは5Hz1秒間に5回のうねり)だったので。今度は1秒間に20Hzでグラフを書いてみます。

 まず2人の音が完全に合っている場合、グラフは次のようになります。

 

 2人の音(赤)は2の音量のまま、まっすぐに聞こえます。

 ところがAさんは20HzなのにBさんは少し低い16Hzの音程だったとします。すると・・・

 2人の音(赤)は大きく4回上下にうねりますよね。その結果、実際には2人の音が1秒間に4回うなって聞こえます。うぉん うぉん うぉん うぉん という感じです。

 つまり、 

@     音程が合わないと、合成波(2人の音)がうねり、その結果、音がうなって聞こえる。

A     2人の音程が1Hz違うと、うなりは1秒間に1回聞こえる。 

ということです。逆に言えば、うぉんうぉんという「うなり」が出ないように気をつけて演奏すれば、きれいに大きく響く!!ということになります。


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音程と音量〜小さな力で大きな音を出す〜
  互いの音で助け合い、足の引っ張り合い


「音が合う」という話とかぶりますが、もう少し具体的な例で、音程を合わせるとが音量アップにつながることを理解してみましょう。
 

現在の吹奏楽コンクールの規定では、高校の部で55名以内とされていますが、あまり人数を増やすとグラフが見づらくなるので、ここでは10人で合奏したことにして、その音程と音量の関係を見ていきましょう。

先ほどからの話と同様、1人の音量が1(つまり振幅が1)だとすると、10人で出した音の音量は、全員の音程が完全に合っているなら、1+1+1+1+・・・=10になるはずです。これをグラフにすると、次のようになります。

 

 ところが、10人の音程が上下に2Hzの範囲でばらばらだったとします(ひどいバンドは実際にはもっとずれています)。すると、10人で出した音は次のようになってしまいます。

 

 2つのグラフを比べてください。

 音程が合っていると常に大きくクリアに響くのに対し、合わないと音量が小さいだけではなく、響きにもムラができてもうぐちゃぐちゃ・・・になるのが分かると思います。

 ここでは10人が20Hzの音を出したことにして見てみましたが、実際には50人ぐらいの人間が、440Hzぐらいの音程で(これについては別に書きます)演奏するわけです。その結果の違いは歴然!!

 上手い演奏では、奏者が楽に演奏していてもよく響き、信じられないような大きな音がするのに対し(普門館のような大きなホールでも、天井が落ちそうなくらいによく響く)、下手な演奏では、顔を真っ赤にして鼻血が出そうなくらいにがんばっても、音が小さく全く響かないように聞こえる理由が分かりましたか?

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きれいな音(澄んだ音)と音程の関係 きれいな音は見た目もすっきり

 上手いバンドの音は、大きいだけではなく、非常に澄んで緊張感に満ち溢れているとは思いませんか?特にppの時など、背筋がぞくぞくするほど音が澄んで聞こえます。これには様々な要素が考えられますが、その1番の原因は、やはり音程と波形、つまり音色です。

 まずは音程について考えてみます。「音程と音量」のところに載せた、2つのグラフを見てください。 

 グラフの真ん中(X軸)周辺に見られる小さな波が、個人個人の音です。音程が合っているときには、個人個人の波が完全に重なり合うために、非常にすっきりしていますよね。これが「澄んだ音」の原因です。この澄んだ感じは、ホール内の空気に直接伝わるため、聴衆に緊張感をももたらします。一方、音程が合わないほうのグラフでは・・・それぞれの音がごちゃごちゃに入り乱れ、なにがなんだか分からない状態になっています。これでは澄んだ音がする訳がなく、当然の事ながら緊張感などもありえないですよね。

  次に波形、つまり音色について考えてみます。「音の3要素」のところにも書きましたが、音には3つ目の要素である「波形=音色」があります。さまざまな訓練をすれば、音程は必ず合わせられるようになります(詳細は別にまとめています)のですが、実際に楽器から出る音は、さまざまな倍音が関係するため、このようなきれいな波形にはなりません。楽器ごとにも違いますし、プレーヤーによっても異なります。

  上手いバンドを聴くと、音がものすごくブレンドされ、「いったい何の楽器の音なのか?」が分からないほどです。これはバンド全体の波形が似ているためです。楽器ごとの音色(=波形)を超越した、個人ごとの音色(=波形)が調和するんですね。

お互いの音、つまり波形をどうやって似せていくかは、またあとで書いてみます。


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コマを回すと音程が目で見える 音程のずれを簡単に目で見る方法!

 柄(がら)のついたコマを、照明の下で回したことはありますか?コマの回転数に合わせ、回っているコマの模様が次第にゆっくりになって一瞬止まり、その後は反対周りに少しずつ周り始める。そしてしばらくすると、またその動きがゆっくりになって止まり、反対向きに回り始める…。この現象は、チューニングをしている状態と理論的に同じです!音が合う・合わないといことが、目で確認できるんですよ!ぜひ学校や家庭で体験し、理解してみましょう!

 こんな柄(がら)のコマを回すと・・・ 最初、模様が見えないが・・・・  しだいにゆっくりになり一瞬止まる 
     

 


 さて、「照明の下で…」と書きましたが、皆さんの身の回りにある照明は常に細かく点滅しているのは知っていますか?これは家庭に供給されている電気が直流(プラスとマイナスが常に一定で変化しない)ではなく、交流(プラスとマイナスが常に入れ替わっている)であるためで、そのプラスとマイナスの変化の様子は、音と同様、「波(正弦波交流)」になっています。プラスからマイナス(マイナスからプラス)に変化する際には、必ず電圧がゼロボルト(0V)の点を通るので、その時には一瞬照明が消えます!「うちの照明はずっと光ったままで、ついたり消えたりはしないよ!」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、それは点滅速度かかなり速いため、点滅していないように見えるだけです。ちなみにその速度は、東日本では50Hz(ヘルツ)で西日本では60Hz(ヘルツ)。山と谷で1つの波ですから、東日本では1秒間に100回、西日本では120回、ピカピカと点滅しているわけです(なぜ東日本と西日本で点滅回数が違うのかということを知りたければ、「中部電力様のホームページ」等がわかりやすいです)。


 音の波と家庭用電源(交流)の波は同じ

 


 照明が点滅していることは、鉛筆1本で確かめられます!照明の下で鉛筆を素早く左右に振って「ほら、鉛筆が何本かに見える!!」なんて遊びをしたことはありませんか?あの現象は、鉛筆に照明が当たった時にだけ鉛筆が光を反射するために起こる現象なのです。太陽光の下で同じことをすると、鉛筆は何本かには見えないはずので、実験してみてください。もし太陽光の下でも鉛筆が数本見えたとしたら、あなたを照らす太陽が点滅しているということです(笑)。

 話を本題に戻しますが、コマを回した瞬間からコマの回転速度が落ち始め、やがてその回転数が照明の点滅速度の整数倍かその逆数倍(1/整数 倍)になります。つまり、眼下にくるコマの柄の変化(周波数)と照明の点滅数(周波数)の関係が、整数倍(または逆数倍)の関係になるわけです。この状態になった瞬間に、回っているコマの模様が止まります。

 
ここで、「音が合う」というのはどういうことだったか思い出して下さい(忘れた方は、「音が合う(合わない)ということ」を復習してください!)。音が合うという状態は、それぞれの音の波どうしがきちんと重なり合う状態でしたよね。つまり、「照明の下でのコマの模様が止まる=音が合った状態」ということなのです!!
 回転速度がしだいに減少していくということは、周波数が下がっていくということと同じですから、コマの模様の変化と音が合うという状態を比較してまとめると、次のようになります。

@回っているコマの模様が少しずつゆっくりになる = やや高い音から少しずつ基準音に近づきながら、音程が少しずつ下がってきている状態
Aコマの模様が止まる = 音程がぴったり合った状態
Bコマの模様が再び動き始める = 音程を下げすぎて「うなり」が生じ始めている状態


 つまり、照明の下でのコマの模様の変化は、少し高めの音からチューニングをはじめ、一瞬音程が合うんだけどそれを通過して音程を下げていく状態・・・という感じに説明できると思います。

 ピッチの合わないバンドを演奏を聴くと、大した音量でもないのに耳がつかれ、何をやっているのかよくわからないものです。この状態は、動いているコマの模様が認識できないほどピッチがずれている状態です。
 また、pでもfでも音がとてもクリアで、プレーヤー一人ひとりの音もはっきり聞こえ、ホールの空気が澄み切っているバンドの演奏は、コマの模様がしっかりと見え、それが常に維持されている状態(コマの回転数が減少しない状態)なのです。

 この状態を維持し続けるためには、摩擦や空気抵抗に負けないよう、コマに少しずつ力を加えてやらなければなりません。上手いバンドは、プレーヤー全員が、この力を音に加え続けているのです!!!


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チューニングって何を合わせる? チューニングは音程を合わせるのではない

 世の中の音の基準は、A(440Hz、ピアノのラの音)を基準にすると、1939年にロンドンで行われた国際会議で決められました。これが理由なのか、弦楽器の開放弦にAの音が多いためなのか、オーケストラでは基本的にAの音でチューニングします。吹奏楽では、B♭の音でチューニングする場合が多いですが、これは単純にB♭管の楽器が多いからです。

 でもそんなことはどうでもいいとして、今、皆さんのバンドがB♭の音でチューニングしたとしましょう。さて、何が合いましたか?そして何を合わせましたか?

 ご存知の通り、楽器には様々な調があります。また楽器の種類による癖(金管楽器の第5倍音が上ずる・・・など)、楽器そのものに特有の癖(特定の音が高い楽器・・・など)、プレーヤーの癖(演奏上の癖やそもそもの個人の音感的な癖)など、チューニングには克服すべき問題が多すぎます。大体、フルートやオーボエなんて楽器自体の音程は無いぐらいに、アンブッシュアや持ち方・吹き方で音程が変わりますよね。これらをほとんど無視して、皆さんが合わせたのは、無理して作り出したB♭という意味のない音です。

つまり、チューニングはそれぞれの楽器から出た「音」を合わせる作業ではないのです。

 それに、仮にB♭の音が完全に合わせられたとしても、それ以外の音は全く合ってはいません。すべての音が完全に正しい音程の管楽器なんて、この世の中には存在しないからです。もしそんな楽器が合ったとしても、和音を吹く時には使えませんよね(和音と倍音・音程については、他のサイトをご覧ください)。

では、一体なにを合わせるのでしょう?

 答えは、自分の楽器の調節範囲を合わせます。つまり基準になっている音に対して、自分の楽器はこれぐらいのピッチに調整しておくと、他の音についても調整が楽だ! というような状態にするだけなのです。そのために、自分の楽器の管を抜き差しするなどして、その日のコンディションに応じた調整をしておく準備体操なのです。

 もちろん演奏途中に楽器の状態は変化してきますから、曲の中でも必要に応じて調節しますし、特定の調や音だけ抜き差しして調節する場合もあります。

だからチューニングでは音を合わせるのではありません。頭の中や体の状態をチューニングするのです!!

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チューナーはチューニングの道具ではない チューナーは楽器の癖を見抜く道具

 音程の合わないバンドのチューニングや練習風景に必ず見られるのは、1人1人がチューナーを持ち、ベルにマイクを着けて電源をいれ、チューナーを見ながらチューニングする姿です。基準になっている音も全く無視。チューナーだけが頼りで、耳ではなく目で音を合わせている・・・。目で音は聞こえないのにね。

 ひどいバンドになると、チューナーの電源を入れたまま、基礎合奏や曲の練習に突入してしまいます。コンクールの本番でもチューナーを使ってるのかな?

 バンドでチューニングをする際に、チューナーは全く不要です!というより、使ってはいけません。チューナーはバンドをチューニングする機械ではないのです!

 では、チューナーって何をする機械なの?って思うでしょう。

 チューナーは、「楽器の音をチューニングする」機械です。「何を合わせる?」のところにも書きましたが、管楽器には、その楽器の種類や楽器そのものの特有の癖があります。製造された国、時代、メーカーによってもかなり癖があります。音感の正しい人(よく訓練された人)なら、1回演奏すればそれらの癖はすぐに把握できますが、中高生など楽器経験の浅い人は、なかなかそれを把握しつくすことができません。そこで必要なのが「チューナー」です。自分の楽器のすべての音をチューニングし、楽器と自分の癖を完全に見抜き把握しておくための道具が「チューナー」です。ですからそれができるまでは、毎日面倒がらずにきちんとチューナーとマイクを接続し、癖を見抜き、それを修正しながらロングトーンをする必要があります。

 ここで注意が2つ。

 まず先ほども書きましたが、「目でチューニング」しないようにすること。チューナーを見ながら楽器を吹くと、チューナーの値が真ん中に来るように口で調節してしまいます。ですから、チューナーがなくなってしまうと何に合わせたらいいか分からなくなってしまい、結局適当な音程で演奏してしまうことになります。

 誰かにチューナーを見てもらって、音に集中するのが1番いいのですが、1人で練習するときにはそれができません。そんな時には、目を閉じて音を出し、その後に目を開いてチューナーを見てください。目を開いたあとにさらに口で調節してはダメですよ。目を閉じて耳と心で頭の中にイメージする音にチューニングし、目を開いた瞬間にそれが正しいかチューナーで確認するのです! 

チューナーは、合奏には持ち込み禁止です!

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B♭の音は440Hzではない 基準音とその他の音の関係

 「何を合わせる?」のところにも書きましたが、世の中の音の基準はA(440Hz、ピアノのラの音)にすると、1939年にロンドンで行われた国際会議で決められました。ということは、それまでは特にきちんとした基準はなく、国民性や気分に任せられていたということになります。なぜ440Hzなのかは分かりません。赤ちゃんの鳴き声がちょうどその辺の周波数だからという説もありますが、定かではありません。

 さて、「音の3要素」にも書きましたが、440Hzというのは、音=波の周波数(1秒間の波の数)でしたよね。この値が大きくなればなるほど音は高くなり、逆に小さくなれば低い音になります。

ん、待てよ。ということは・・・

  普段チューニングするときに、「今日は440HzのB♭でチューニングね!」なんて言ったりしていませんか?これはおかしい表現ですよね。だって440HzはAの音なのですから。じゃあ、普段のチューニングって、何に合わせているんでしょう?

 

 まずチューナーやハーモニーディレクターを440Hzに設定するのは、「440HzのAの音を基準にして、1オクターブを12等分して得られる半音階(つまり平均律)に、各鍵盤の音を合わせる」という作業です。

 1オクターブ高い音は周波数が倍ですから、基準音を440Hzにした場合、1オクターブ上のAの音は880Hzになります。チューニングしたいB♭の音はAの半音上ですから、この440Hzの差を12等分したものを、単純に440Hzに足した音のように考えますが、そうではありません。「音=波」だし、「音が違う=波の数(周波数)が何倍かになっている」のですから、実際(440Hzの場合)には、


(n=1、2、3・・・半音の音))
という計算で、各音の周波数が計算されます。難しいから、あまり考えないようにしましょう(笑)。

でもとりあえずチューニングするB♭の音は、Aから数えると1つ上の半音ですから、n=1を代入すると、

約466Hzということになります。

 とりあえずここで言えるのは、

@     Aが440Hzの時には、Bの周波数は約466Hzである。
A     基準とするAの周波数が変化すると、各音の周波数も当然に違ってくる

ということです。

  だからさっきのチューニングの話に戻れば、「今日は440HzのAの音を基準にして計算された、約466HzのB♭の音でチューニングね!」ということになりますが、それじゃなんだかわからない???

 だから、結局「440HzのBフラットね!」と言うのです。

 最後に、今まであえて避けてきましたが、音程はセント(cent)という単位を用いても表されます。チューナーに表示されるのはこの「セント」なので、むしろなじみやすい数字かもしれません。このセントですが、1オクターブを均等に12分割し(平均律)、その半音に当たる音程の差を100セント(centとしたものです。つまり音が1オクターブ違うとすると、100セント×12半音=1200セント違うということになります。

 でも基準にするAの周波数次第で、半音あたりの周波数も違ってくるのでしたよね。ですから、「1Hzって何セント?」と言われても、その日の基準ピッチによって異なってしまうため、答えることができません。」



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音ではなく「波」を合わせる  うなりと周波数の関係

 「音=波」であることや、音程が合わないと「うなり」が聞こえる理由が分かってきたと思います。ここでは、「音程のずれととうなり」の関係を見ていきましょう。

  今まではグラフを単純化するために、実際的ではない20Hzなどの音(ヒトが耳で聞くことができる最低音ぐらいです)で話をしてきましたが、今回は実際にチューニングで使う442Hzあたりの音程で考えていきましょう。

 今、2人が440Hzと442Hzの音程でAの音を出したとします。これまでのように2人の音(合成波)を赤で表すと、グラフは次のようになります(波が細かいので、ベタ塗り状態に見えます)。

 
 1秒間(グラフの端から端まで)で、2人の音である合成波が大きく2回うねっている
ことが分かります。つまりこの場合2人の音を聞くと、「うぉん、うぉん」と1秒間にきっちり2回、うなって聞こえます。つまり、2人の音程が1Hzずれていると、1秒間に1回のうなりが聞こえるのです。

 ちなみに440Hzと444Hzの2人の音では、

  

 
 というように、当然4回のうねりが見られ、じっさいに4回のうなりが聞こえます。

 つまり、「音を合わせる」ということは、ただ漠然と自分の音を誰かの音に近づけるのではなく、この「うなりを無くする=波を合わせる」という作業なのです。これを理解しただけで、どんな音痴の人でも、必ず音程を合わせることができるようになります。また、しっかり訓練すれば、音程がずれたままでは演奏することができないほど、音程に正確な人間になれます!!本当です!


 詳しくは、次の「波を合わせる練習法」を見てくださいね。


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波を合わせる練習方法  まっすぐな定規はふにゃふにゃしている

 皆さんはまっすぐな線を引くときに、どうしますか?きっと線よりまっすぐな定規を使うと思います。

 「音を合わせる=波を合わせる」でしたよね。波をあわせるためにも、やはりまっすぐな何かが必要です。それはなんでしょう?

 多くの人は「チューナー」を思い浮かべると思います。確かにチューナーを見ながらロングトーンをすれば、その時だけはまっすぐ正しい音程で演奏することができます。ですが、チューナーは「目で音を見る」ための機械でしたよね。ですから、マイナスではありませんが、あまりいい練習にはなりません。

 次に思い浮かべるのは「ハーモニーディレクター」など。これで何らかの音を出して、自分もその音を演奏すれば、あとは「うなり」が出ないようにすればいいのでしょうが、全員分のハーモニーディレクターは、皆さんの学校には存在しないですよね。 

 では、どうするか?

 実は皆さんの周りには最高の定規が存在します。それは、あなたとあなた以外の誰かです!!

 合奏は通常、多くの奏者が集まって行われますが、全員の音が合うためには、まずその最小単位である2人の音程が完璧に合わなければなりません。これは当然のことなのですが、日ごろからコンクールや演奏会のために曲の練習ばかりに追われるバンドの多くが見失っていることです。

  つまりロングトーンやスケールに始まり、曲の練習まで、常に2人でやってみるのです。その際に、絶対に「うなり」を出さないようにするのです。自分が相手の定規になり、相手が自分の定規になってくれるのです!

  最初は2人でB♭を吹いただけでも、どこかで「うぉん」とうなってしまうものです。そこで妥協せず、根気よく毎日「2人組」の練習をしてみてください。最初は同じ楽器どうし。それができたら、いろんな楽器どうし(ピッコロとチューバなんていうのもありですよ!)でやってみましょう。1ヶ月ぐらいで明らかな効果が見られ、半年後にはチューニングなんて必要がないほど、正確なピッチのバンドが出来上がります。それに、様々な調の楽器と2人組をやることで、楽器特有の癖(クラのA♭とか、金管の第5倍音付近の音程が高いこととか)を克服することもできるし、異なる楽器どうしでの音色の統一やブレンドの練習にもなります。

 もちろん、効果的な2人組の練習をすればですけど・・・。

 さらに、1人ではサボりがちな練習でも、必ず2人で毎日やると決めておけば、練習も楽しくサボらずにできるようになるし、なにより様々な部員どうしでペアをつくって練習することにより、お互いの「信頼」が生まれます!!よいサウンドづくりには、心の調和がなにより大切ですからね!

「2人組」の方法は多様であり、ここですべてを書くにはあまりにも無理があります。

 もし興味がある方(生徒さんでも先生、その他の指導者の方でも誰でもかまいません)がいらっしゃれば、直接ご連絡ください。

 資料をお送りすることもできるし、直接指導にうかがうこともできます。


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正しい階段を上り下り〜スケールの重要性〜  調が変わっても、階段は変わらない

 スケールなんて、ただのドレミファソラシド・・・。私が子供のころは、なんで大事なんだろうと思っていました。しかし、スケールはすべての練習の基礎となり、とても大事です。

 まずスケールの重要性は、「頭の中の階段の高さを一定にする!」ということです。ドとレの間には半音が2段、ミとファの間には階段が1段(あとは面倒だから省略します)。この段差を、どんな調においても常に正確に保つのが、スケールの意義です。

 しかし人間は、まあまあ優れた動物なので、どこかの調についてこの段差が正しく身につくと、他の調でもその階段を正しく使えてしまいます。だから、この「段差を正しく身につける。」という作業に関しては、何も全部の調で行う必要はありません。まあ多くのの調でやるに越したことはありませんが・・・。

 沢山の調でスケールの練習をするのは、「チューニングって何を合わせる?」で書いたような、楽器そのものやプレーヤー自身の癖を矯正することと、指を覚えることが目的です。これら(階段と癖と指)を一度にやろうとしても、どうせ上手くはいきません。ですから、まずは簡単な調(指使いが)でしっかりとした階段を身につけ、それとは別に指使いのための練習をすることが大切です

 「波を合わせる練習方法」で書いた、「2人組の練習」をスケールに応用させると、少なくても階段の段差と指に関しては、自然に克服することができます。またそれを毎日いろんな楽器とやることで、調の違いも克服できます。

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まずは頭の中をチューニング  頭の中の音に合わせる

 チューニングする際、普通は最初に基準になる音を出します。ハーモニーディレクターの音だったり、オーボエだったりクラだった、バンドによって様々です。どの楽器を基準にするかでいろいろこだわる指導者の方もいらっしゃいますが、正直、何の楽器でもかまいません。大事なのは、聞こえた音に対して、各プレーヤーがどういう準備をするか?ということです。これまで書いてきたように、少なくてもその「聞こえた音」に対して、自分の楽器をチューニングするのではありません!

 では、いったいどうするのでしょう?

  基準の音が聞こえたら、まずそれを頭の中で理解します(頭の中で同じ音を鳴らすという感じでしょうか?)。よく分からない人は、小さい声を出してその音を声で出してみてください。中高生の場合には、しっかりと声を出させるのもよいでしょう。ただし完璧な音程で!(毎日そんなことをやっていると、ほぼ間違いなく惰性になり、声を出す目的を忘れてしまうので注意)

  これができたら、次にその頭の中でイメージした音に自分の楽器をチューニングします。イメージした音程と異なれば、管の長さを調節して、自分の楽器から出た音が頭の中の音と同じになるようにします。この時に、基準の音は不要です!完全に音を止めてしまいましょう!

  オーケストラでもコンサートマスターの方がAの音を出したら、あとはみんな好き勝手に(というと語弊がありますが・・・)チューニングしますよね。自分の頭の中の音と、バンド全体又はホール全体の響きとしての音程を合わせているためです。いつまでもコンサートマスターが全員に聞こえるような大きな音で、楽器を鳴らし続けるわけではありませんよね。

 チューニングが苦手でなかなか音が合わせられない人は、だいたいこの作業を怠っています。バンド全体にも同じことが言えます、音程の悪いバンドほど、チューナーとハーモニーディレクターにしがみつきます。

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音の出だしで合わせる  出だし以外の音程を合わせるのは、チューニングではない

 楽器に息を入れて音が出る!普通は口やリードがもっとも振動しやすいときに音が出るはず。その瞬間の音程を、頭の中にある音に合わせることが「チューニング」です。音を長く伸ばしながら、少しずつハーモニーディレクターなどの基準の音に近づけて行ったりするのは、「基準の音に自分が慣れていく」作業であり、管の長さを変えて、自分の楽器が一番コントロールしやすい状態(頭の中にある音に近い状態)にするという、本来の「チューニング」ではありません。

 大体、下手なバンドほど、ハーモニーディレクターの音を鳴らしっ放しにして、1人ずつ音を長く伸ばしてその音に合わせていったりするものです。皆さんのチューニングも、そうなってはいませんか?

 そうやって合わせた音は、合っているのはその時だけで、いざみんなで音を出したりすると、当然のようにぐちゃぐちゃになります。「管の長さ」を調整したのではなく、口や吹き方を変えて、出ている音に無理して合わせたのですから、当然の結果です!

  ですから、チューニングする時には、まず頭の中にしっかりとした音を鳴らします。次に音の出だしに全神経を集中します。そして音が出た瞬間に、「高い!」「低い!」と判断するのです。難しそうですが、慣れればすぐにできます。だって、頭の中に「あ」という言葉を思い浮かべて、口から出た言葉が「い」だったら、すぐに自分で気づくでしょう?音がわかるということは、それと同じことです。

 「あ」と言いたいのに、楽器からは「い」に近い音がするようであれば・・・そのときにはしょうがないから管を抜き差しします。チューニングはこれで終わりです。もしどうしても不安なら、それを2回ぐらい繰り返してもいいですけどね。でも、1回目で合わない人は、大体10回目でも合わないものですよ!ほんとに(笑)

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ハーモニーディレクターよりもきれいに合う!  音色(波形)と倍音のなせる業

 ハーモニーディレクターはすばらしい機械です。高校のとき、指導に来てくださった淀彰先生が、発売間もなかったYAMAHAのハーモニーディレクターを持参され、純正調と平均律の和音を説明してくださったときに、目から鱗ではなく、耳から脳みそがこぼれ落ちるほど感心しました。現在発売されているハーモニーディレクターも、機能が充実し、バンド指導には欠かせませんよね!!私はここまで、音を出す1つの機械としてハーモニーディレクターという名前を出してきましたが、私はその有用性や必要性を否定しているのではないことをご理解くださいね。この通称「ハモデ(レ)」は、できれば全員が所持するべきものだとさえ思います!!! 

 さて余談はさておき、基準音を出すはずのハーモニーディレクターよりも合うとはどういうことでしょう? 

 ハーモニーディレクターには様々な音色が準備されていますが、いずれも機械で作成された波が音となってスピーカーから出てきます。例えば1オクターブの2つの音を出したとして、その2音は完全に同じ波形(つまり音色)で、片方の音の周波数だけが倍(440Hzと880Hzなど)になっているわけです。もちろんそれらは完全にお互いの波を強めあうので、合成音はよく響きます。 

 しかし何かの音を演奏するときに、その周波数の音だけが楽器から出るわけではありません。その音の周波数の整数倍である音、つまり倍音が沢山でます(あまりいい表現ではありませんが・・・)。これらがもともとの楽器から出た音や、お互いの倍音どうしで波を強め合って(共鳴しあって=すべて基準音の整数倍ですから、とてもよく響きあいます)、倍音の少ない電子音であるハーモニーディレクターの音よりもきれいに響いてしまうのです。 

 倍音は、音の神様が使わした「天使」です。きちんとしたチューニングができるバンドにだけ現れ、その音をさらに輝かせてくれます(^^) 

 また、倍音は限りなく上に広がっていきます。それは周波数に上限がない(耳に聞こえるのはせいぜい20000Hz弱までですが)ために非常に高い音まで共鳴し合うことと、高周波数の波の方が透過性が高い(遠くまで響く)こと、そしてプレーヤーの音は床より下には響かない(当然か・・・)ということのためです。
よい響きは、限りない上空にあります!!

  ですから、チューニングがある程度しっかりできるようになったら、楽器から実際に出ている音ではなく、この倍音に合わせるようにしてみましょう。

  指導者の方が生徒さんにこれを伝えるのは、実はとても大変です。「倍音を聞けー!」なんて言ったって、本当に理解できる生徒は1%ぐらいですよ。

  では、どうするか?

  そんなときには「あと10m上でチューニングしろ!」「だいぶ合っているから、あと30m上でチューニングして!」と、具体的な数字を与えてみてください。実際には無理なことでも、生徒は素直なので、上のほうにある響きを感じようと努力します。すると、嘘のようにサウンドが輝きますよ!それができた瞬間に、響かないように設計されている音楽室が、一瞬、ヨーロッパの教会のように響きます。それを1度でも感じたら、もうそれ以降、チューニングに頭を悩ますことはなくなります。 

 そして最後に一言、「聴いたか?今の音。ハーモニーディレクターよりも合ってるし、世界一響くホールで演奏してるみたいだよ!」なんて、気の利いたことを言うんです。これも結構大事ですよね!!

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チューニング時間は、1人1秒以上要らない! 2分以内でバンド全体のチューニング!

 あまり上手ではない、あるいは音が汚いバンドの練習に共通している点が、「チューニング時間がやたら長い!」ということです。それは顧問の先生が、チューニングというものの意義や方法を根本的に理解していないためであると思います。「チューニングって何を合わせる?」「音ではなく「波」を合わせる」「まずは頭の中をチューニング」などでも書きましたが、基準になる音を大音量で出し続け、さらにチューナーまで使って1人ずつ音を合わせるのは、全く意味がありませんし、無駄です。

 あなたのバンド、チューニングだけで10分も20分もかかっていませんか(笑)?

  ではどうすれば・・・?

 次のような方法はいかがでしょうか?実際に私が行う方法です。 

@     まず基準になる音を出します。ハーモニーディレクターでも何かの楽器でもかまいません。

A     各プレーヤーが頭の中でその音を鳴らす。

B     音を止める。

C     メトロノームを60にして、1人1拍ずつ音を出していく。自分の前に出した人の音が基準音になる。

D     合わないときだけ、「合わない」と言ってあげる。言われた者や自分で気づいた者は自主的に立つ。

E     一通り終わったら、合わなかった人だけ(立っている人)もう一度同じことをやる。

F     全員座ったら終わり! 

 最初はなかなか難しいですが、きちんとした訓練をつめば、1回目に音が合わずに立つ生徒はほんの数名になります。だから、55名のバンド(打楽器を除けば50名以下ですよね)でも、だいたい2分あれば完璧にチューニングできます。

  信じられない方が多いと思いますが、きちんとした訓練をすれば、どんなバンドでも半年後にはこの状態にもっていくことができます。それには、「波を合わせる練習方法」のところで書いた「2人組」の練習を丁寧にやることです。誰かの出した音が(あるいは自分が出した音が)、必ず他の人の音の基準や支えになっている!!ということを実感できれば、音は自然に合うようになります。

  「2人組」の練習以外にも、基礎合奏の中でやる、それの応用練習が沢山あります。なかなか文章だけでは表現できないので、ここでは省略しますが、もし知りたい方がいらっしゃれば、直接ご連絡ください。資料をお送りすることもできますし、直接指導にうかがうこともできます!


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音形の重要性 〜音形は「たあん」〜  音を常に目で見て確認!

 様々な教則本やバンド教本に、基本的な音形について書いてありますので、ここではその確認と補足です。

 まず次の図を見てください。


 長い音、短い音、アクセント、テヌートなど音形にもいろいろありますが、今は何の指示もない、四分音符を演奏すると思ってください。ご覧のように、音の基本形は図の通りです。 

音の出だし=アタック  音の中ごろ=コア  音の終わり=リリース 

これが基本なのですが、実際にこの言葉を使って音形のことを説明しても、いまいちピンと来ないものです。そこで図にあるように、それぞれの部分に「た」「あ」「ん」と言葉をつけてみましょう。

 四分音符の音は、基本的に「たあん」です。スタッカートは「たん」、テヌートは「たあー」、長い音は「たああああん」かな。

 「アタックがきつい」とか「リリースが下手」なんて生徒に大声で叫んでも、よく伝わらないどころか、間違ったニュアンスで伝わってしまうことが多いと思います。その代わりに、「“た”しか聞こえない!」「“ん”がないから、音が響かない」とか言ってあげると、圧倒的に分かりやすいのです。音が短い時には、「“あ”の数をあと3つ増やして!」なんて感じです。

  また音の長さを説明するため、日ごろから基準となる音符の長さを仮定しておくと、効果的です。私は4分音符=1m」として、いつも話をします。テンポが速くても遅くても1mです。それで、「あ〜、今の音はあと3cm短いよ!とか言ってあげると、効果的です。 

 この先も、4分音符が1mだと仮定して話を進めますね!

 

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出だし(アタック)の難しさ 慣性の法則を理解する

 人は視覚に最も大きな影響を受けます。つまり見た目に弱いということ。音の見た目は出だし(アタック)です。「音形の重要性」に書きましたが、正しい「た」を発音することですね!下手な人は、まずこの見た目がダメです・・・

 でもそれは当然のこと。安心してください。ここではなぜ見た目がよくないのか、理解してみましょう!

  皆さんは「慣性の法則」をご存知でしょうか?

 簡単に言うと、「止まっている物体はすぐには動けないし、動いている物体は急には止まれない」というものです。この「止まっている物体はすぐには動けない!!」ということを、音に当てはめてみましょう。

 

 

 なにか音を出そうとします。曲の最初かもしれないし、休符のあとかもしれません。その時、音楽は流れているのに皆さんは音を出していない、つまり止まっているのです。この「止まっている」状態から、正しい音形で音を出そうとすると、アタックの部分によほどしっかりした息を入れ、なおかつそれを持続させないと、正しい音形にはなりません。

 止まっている人に、いきなり「合図した瞬間から時速40kmで走れ!!」と言っても、慣性の法則が働くから無理でしょう!

 でも音楽ではこれが可能です。しっかり理解し、準備すればですが。どうするのかというと・・・ 

 まず、頭の中に四角いものを思い浮かべてください。私はいつも豆腐を思い浮かべます。そして・・・ 

 要するにアタックの形をしっかり四角い形にすればいいのですから、まずは舌を離した瞬間(タンギング)からしっかりとした息が楽器に入るよう、口の中の舌より内側の空気の圧力を、すこし高めに保っておいてください。これがしっかりした準備です。簡単でしょう!

  簡単に言うと、「た」と発音する直前の状態です。だいたいアタック=「た」でしたものね。

  あとは、舌を離した瞬間から、「た」と発音して舌を離した勢いと同じで息をまっすぐ入れ続けましょう!!これが、次に述べる音のコア、つまり「あ」の部分につながってきます。 

 しっかり息を入れるということと、強く舌をつくするということを間違わないでください。タンギングはどんなにきつい音でも、常に「舌を離すだけ」です。あとは息のスピードと量の問題です。下手な人にもっと出だしをしっかり!というと、だいたい舌を離した瞬間だけがんばります。その結果、頭だけ鋭角の「三角形」の音形になり、そのあとの息も充実しないので、結果的に耳に刺さる響かない短い音になってしまいます。

 

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音の中身(コア)の充実  スカスカの弁当おかずは、ぐちゃぐちゃになる

 人は、音符を見ると、当然にその音を「確実に出そう」として、アタックつまり「た」を意識します。これはとても重要かつ上手に発音するのはとても難しい(慣性の法則があるから=「出だし(アタック)の難しさ」を参照)ものです。

 そのため、音を出す際に、人はどうしても音の出だし、つまりアタックだけに集中してしまうのです。

 しかし音の命はその中身である「コア」にあります。

  元青森山田高校顧問の安西先生が、「音は産み、育てるもの!」とおっしゃっていましたが、この言葉は正にこの点について述べられたものだと思います。 

 私たちは音を「産み出す」ことだけに気をとられてしまうのです。でもそれでは生みっぱなしの子供と同じ。親になり子供が欲しいという場合、「子供を産むだけ」もしくは「子供をつくる行為だけ」に興味があるわけではないでしょう??まずは子供を産み、その子供にどのように関わっていくかでその子の将来が決まるのです。音もこれと同じです!!

 では実際に何を気をつければいいのでしょう?

  アタックばかりに気をとられると、ほとんどの人はそこだけに息が入り、その後は楽器に息を入れることをサボってしまいます(子育てをサボってパチンコに行くようなものです)。すると、音形は次のようになります。

 

  コアの部分で確実に音が薄くなり、バンド全体としても響きが薄くなります。この図ではまだ音のリリースである「ん」の部分があるからいいですが、多くのバンドでは、このリリース自体がなくなってしまい、音が「たぁ」と短くなります。コンクールの講評などで、「音が短く音色がきつい!」などと書かれた事はないですか?その状態がちょうどこれになります。別に書きますが、この原因に加え、さらにフレーズ感もなく(フレーズがどこからどこまでなのか、考えられていない)、酸欠の金魚のようにパクパクとブレスをするものですから(ブレスはしてもいいのですが、そのタイミングとごまかし方と全体の流れに問題があります)、もう大変・・・この辺についてもまた別に書きますね!

 音は産み、育てるもの!  すばらしい言葉ですね!!



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音の終わり(リリース)の大切さ  いい女は後姿が美しい・・・ん?

 「音の中身(コア)の充実」で書いた、「音を育てる!」については納得していただけましたか?次は音の最後の部分の形、つまり「リリース」です。「たあん」という基本的な音形の「ん」の部分です。音楽の表現力やセンスを決める、もっとも大切な要素ではないかと思います。 

 「出だし(アタック)の難しさ」で書いたように、人はどうしても音を産み出すこと、つまりアタックにばかり気をとられてしまいます。だから音がどうしても鋭くて短くなってしまうんでしたよね。それで、それに気づいた顧問の先生が次にやることは、「音の長さを充分に保って!!」と言って、とにかくすべての音をテヌートで長く吹かせるということです。「ベタ吹き」と言いますが、これは通称(私の中では)「バカ吹き」と言います(笑)。

  そんなバンドの音を言葉で表現すると、「たーたーたーーーたーたたー」なんとなくわかるでしょ!

  これは音のリリースの部分、つまり「ん」が全く考慮されていない演奏です。でもほとんどの音には、「ん」があります。この「ん」をどれだけ的確に着けられるかで、音に品がでるのです。

  では、これを改善する方法を2つ書いてみます。

  @ 楽譜上のすべての音に、「仮名」を振り、実際にそれで歌ってみる!

  例えば四分音符なら「たあん」、八分音符なら「たん」、付点八分音符+16分音符なら「たあんた」・・・というように、音符に対応する仮名つまり「たあん」を楽譜に記入させ、個人やパートごとにチェックしてあげると効果的です。これにより、アーテキュレーションのずれも改善できますよね。

 よく、それぞれの音の音形を音符の上に記入させる方がいらっしゃいますが、これだと見た目で分かっても、音を目でとらえてしまうため、その通りに表現できない場合が多いと思います。生徒に考えさせたものをチェックするのも大変ですしね。その点、楽譜に仮名を振れば、確認の時には、「仮名の通りに歌ってみろ!」と言えば、ある程度の人数でも一発で間違いを指摘できますよね。 

 A 最後の音の次の音や休符に注目させる!

  小節の終わりやフレーズの最後の音などに特に言えることですが、リリースはただの「ん」ではありません。丸く余韻を残してのリリースや、次のフレーズにつなげるためのリリースなど、言葉にはならない微妙なニュアンスをあげたら、きりがなくなります。でもそれを上手に伝えなければ、生徒は適当に演奏します。

 そこで・・・

 その音自体のリリースの形ではなく、その次の音や休符に注目させましょう。例えば4拍目の音のリリースを考えるなら、次の5拍目を意識させるのです。休符であれば、「それは休符ではなく、5拍目を担当する音のない音だから、そこまでしっかり演奏しよう!」とか、フレーズの最後の音ならば、「その音のリリースが、次のフレーズのどの音につながっているのか。」というように、働きかけるのです。次へのつながりを感じることで、リリースの形や処理は自然に出来上がっていきます。

  これについては、「フレーズのつながり」でも説明していますので、参照してください。またこれを効果的に身につける練習方法もいくつかあります。もし知りたいときには、直接お問い合わせください。



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音形と音量(豊かな響きの時間) 正しい音形は豊かな響きの原因!

 どんなに音程が合っていても、音形が合わなければ音は響きません。
 次の図を見てください。

  

 2人が全く違う音形で吹いた場合を図にして見ましたが、たった1音の中でもこのような違いがあると、全体としての響きは2人の音の重なりの部分しか保障されません。これが数十人の合奏になったらどうでしょう?仮にピッチが完全にあっていたとしても、全体の響きはかなり貧弱で不安定なものになってしまいますよね!1つの音の中で、和音のバランスも楽器のバランスもめちゃくちゃになってしまうのです。

  例えば、同じ形の長方形の積み木があると思ってください。この積み木を重ねるのは比較的簡単なことですし、慎重にさえすればかなりの高さまで積み上げることができますよね。ところが積み木の形がばらばらだったらどうでしょう?重ねることすら難しく、数個重ねたら、ガラガラガラ・・・

 もう分かってもらえましたよね。 

 全体としてよく響く演奏をするためには、曲をつくっている音符すべてについて、音形の統一をしておく必要があるのです。当たり前のことですが、皆さんのバンドはそこまで注意できていますか?

 審査員は、課題曲の最初の1音を聴いただけで、これを見破ってしまいますよ!!



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毛虫にもわかる純正律と平均律の違い 難しいことは抜きにしましょう

 音、特に和音を語る上で、「純正律」「平均律」の違いは、避けて通れません。しかし、それを一生懸命に説明すると、音楽嫌いが増えてしまう(どうしても少し難しくなるので)。だからここでは、難しい話し抜きで、この違いを「なんとなく」感じてもらいましょう!! 

 まず「純正律」ですが、波(=音)が1個、2個と自然に数を増やしていく時に出る音(自然倍音といいます)を用いてつくった音階です。お互いの波が強めあい、「1+1=2」のような関係になると、音は響くのでしたよね。そうなるためには、和音の第1音と第3音、第5音の周波数の関係が、できるだけ簡単な整数比になれば、波が同じところで山や谷となり、響き合いそうです(比が複雑になっても音にはなりますが、山と山、谷と谷が重なる確率が少なくなり、あまりよく響かないということになります)。

  たとえば、「ドミソ」の長三和音ですが、きちんと美しく響いているときには、それぞれの音についての周波数の関係は、ドの周波数:ミの周波数:ソの周波数=3:4:5となっています。なんか、見るからにきれいに響きそうでしょう? 

 ところが、こうしてできた自然倍音の階段(半音階)は、階段と階段の間隔(つまり半音から半音までの段差)が一定ではないのです。だから、このままのチューニングで他の調の「ドミソ」を吹いてしまうと、階段の段差の微妙な違いにより、波の山や谷のピーク地点がずれてしまうのです。それが連続すれば、お互いの音がお互いの音を消しあってしまうから響かないし、例の「うぉん うぉん」といううなりが聞こえてしまいます。

  これを克服するためには、和音や調ごとにチューニングを変えてやればいいですが、そんなことは演奏中にはできませんね。「純正律」を指定したときのハーモニーディレクターは、こんな作業を瞬時にやってしまうわけですが・・・ 

 そこで考え出されたのが「平均律」です。「純正律」で求められる、調ごとの微妙な階段の段差なんか無視してしまって、平均値にしてしまおう!という妥協の産物が、「平均律」です。「B♭の音は440Hzではない」にも書きましたが、1オクターブ間にある12個の半音の階段をすべて等しい段差にしてしまうのです。440HzのAの音を基準にすると、その段差(半音あたりの音程の違い)は

(n=1・2・3・・・  半音の数)

  なんてことになるのでしたね。

 この「平均律」の代表がピアノです。ピアノでドミソを鳴らすと、純正律からのずれに相当する各音の波の打ち消し合いが、「うわわわわわわわわわわわぁぁぁぁん」となって、うなって聞こえます。これを聞いて、ピアノの音を「足を開いて座っている中年のおばちゃん」と表現した人がいるそうですが、その微妙なうなりがピアノ独特の響きであり、一概に毛嫌いするべきものでもありません。

  まああえて言えるのは、「平均律」ではコンクールには勝てない!ということですね。

  なお、「純正律」や「平均律」について詳しく知りたい方は、ネット上にいくらでも説明がありますので、ご参照ください。私個人的には、横浜フィルハーモニーのHr奏者である渡辺 正さんの説明が、一番分かりやすいように感じました。こちらには、金管楽器のバルブやロータリーの組み合わせによる、周波数の違い(押せば押すほど音程があがる!!)ということについても実に分かりやすく説明してあります。私が書きたいことの10倍以上詳しくかつ分かりやすく書いてありますので、是非是非ご覧くださいね。



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5度の重要性と3度の色づけ 完全音はきれいな素肌、3音は化粧

 和音の話をしたらきりがないですが、楽器を演奏する以上、とりあえず「長三和音」と「短三和音」の違いと性質ぐらいは頭に入れましょう。逆にそれ以上の話をしても、演奏上はあまり効果がないと思うので・・・ 

 長三和音とは、第1音と第5音の関係が「完全5度」で第1音と第3音の関係が「長三度」の和音です。

 短三和音とは、第1音と第5音の関係が「完全5度」で第1音と第3音の関係が「短三度」の和音です。

  なんだそれ?

 もう少し分かりやすく言うと、長三和音がドミソなら短三和音がドミ♭ソです。 

 分かっている人には当たり前の話ですが、そんなことを知っていても上手くはなりません!!大事なのは、この2つの和音の違いは、第3音の半音分(階段1段分の高さ)だけと言うことです。 

 ということは、長調であれ短調であれ、骨格となる第1音と第5音は全く変わらないのです。第1音の周波数を1.5倍にすると、この第5音になるのですが、数字の関係が1:1.5=2:3なので、とてもよく響きます。だから「完全」5度と呼ばれるわけですし、この2つの音がきちんと鳴らせないと、和音にはなりません。 

 和音の練習をするとき、第1音の次に第5音を鳴らし、安定したところで第3音を鳴らすのは、5度の骨組みをつくって、そこに第3音で「色」をつけていくためです。

  5度の関係を「骨組み」ではなく、化粧前の「素肌」だとしてみましょうか・・・。

  まず化粧の前に、素肌のお手入れが重要です。素肌がぼろぼろではどんなにいい化粧品を使ってもダメですよね。そこに、第3音で化粧をします。この3音はとても繊細で、長三和音の時には、実際(平均律)よりもかなり低くしないと肌になじみません(純正律の和音の整数比になりません)。また短三和音の時には、実際(平均律)よりかなり高くしないと肌になじみません。

  どれぐらい高くあるいは低くすればいいかというのは、実験して試してください。チューナーやハーモニーディレクターではそれが視覚的にも確かめられますが、純正律で完全に合っていることが、その曲自体の雰囲気に必ず合うわけでもありません。まずは「純正律」で和音を演奏することが大事ですが、

 和音が合っている=和音が曲に合っている ではなく、和音が合っている≒和音が曲に合っている

なのです。

 みんなが同じ化粧をしたからといって、みんなが似合うわけではないでしょう(笑)

 だから、音楽の色気をつくるのは第3音なのです。3音の使い方を間違うと、長調なのに悲しくなったり、短調なのに明るくなったり・・・これ以上は言わなくても想像がつきますよね。

  これについては、「純正調より響く和音より響く和音」のところを見てください。



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純正律より響く和音 倍音と共鳴


ハーモニーディレクターなので機械的に純正律の和音を出せば、全くうなりも生じずにとてもきれいに響きます。皆さんのバンドで、ほとんどの音で純正律の響きが確実に出せたら、それだけでかなりのいい賞がもらえますよ。でも、ここではさらに欲を出してみましょう。

理論的には、純正律の和音が一番響くはずです。ですが、「ハーモニーディレクターよりもきれいに合う!」のところで書いたように、特に管楽器からは、出した音のほかに沢山の(無限の)倍音が出ます(ハーモニーディレクターの音にも様々な倍音が含まれますが、実際の管楽器等から出る倍音の方が圧倒的に多い)。実際に出した音だけが純正律になっていれば、もちろん美しく響くのですが、もう少し意識を上に持っていってください。高い意識を持て!って言うんじゃないですよ(笑)。高いところで共鳴している倍音に意識を持っていくのです。

すると・・・

音程は合っていて「うなり」も聞こえないのに、各楽器から出された倍音が完全に共鳴し合っていない(つまり波があっていない)ということに気づきます。「とりあえず音程は合っているのに、今ひとつ響かないバンド」の状態です。これは、大枠では音程が合っているけれど、細部を見たらずれているためで、より響く和音にするためには、細部、つまりより高周波数の波(出している音の何オクターブも上で響いているような音)を合わせる必要があります。

この高周波数の波は非常に、高いところに存在します。高温のほうが遠鳴りするためです。ですから、さらに和音に磨きをかけるためには、「もっと高いところで音を聞け!」と指示をするのです。そうすると生徒の意識は本当に高いところに行き、この高周波数の倍音を聞くようになります。

そこまで意識できるようになると、単にうなりが聞こえないから「合っている」ではなく、その空間に鳴っている音がとても「きらびやか」に聞こえます。どんなに防音の部屋で演奏していても、響くホールで演奏しているように聞こえるはずです。

この感覚を体験すると、あとはどんな和音や曲になっても、それを求めようと生徒が勝手に耳を使い出します。そうなればこっちのもの。まめに「あの感覚を思い出せ。」と言うだけで、それ以降は生徒が勝手に上手くなってしまいます。



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純正律より響く和音より響く和音 人間の錯覚と響の絶妙さ


 次の2つの図形のうち、より正確な長方形に見えるのはどちらでしょう?

 全員ではないと思いますが、多くの人が、@の方が正確な長方形っぽいと答えるでしょう。まっすぐなものをまっすぐに見せるためには、まっすぐよりほんの少しだけ凹形のほうが効果的なのです。この錯覚は、建築物や家具、絵画など、日常的にも利用されています。

 これを和音の3音として考えてみましょう。「純正律より響く和音」で書きましたが、実際の音よりも高い音を高い視点で感じ取るのが、プレーヤーには大事です。それを常に感じ、生徒にも意識させるのは指導者の務めですが、もう少しわかりやすい指摘方法はないでしょうか?

 そんな時には、「音を上から押さえつけろ!」という指示を出します。「音は必ず高くなる!」に書きましたが、ある程度以上に楽器が吹けるようになると、音、特に出だしは、物理的にも心理的にも必ず高くなります。ですから「音を上から押さえつける」と意識することで、音の音程変化を@のような、極微妙な凹形にすることができます。結果的に、本来求められる3音のピッチよりも、0.0001セントぐらい低くなるのかもしれません。

 そうして意識された和音の第3音を、根音と5音が鳴っている状態で吹かせてみてください。すると、「和音がツボにハマった!!」という感覚が得られるはずです。根音と5音の安定関係を、音程の構造的に邪魔しないからです。もし3音がAのような形だったら、その上下にある根音と5音までが正しく重ならずにゆがんでしまいますよね。これを曲全体に用いることで、バンドの音は非常に安定した品のいい大人の響きになります。一般の部の全国大会の音という感じでしょうか?一般の方々のように演奏経験が長いと、無意識のうちにこのような感覚が身につくものですが、中高生にそれを求めるのは無理。そのときにはこの指示が役に立つはずです。

 このような感覚と、「純正律より響く和音」で書いたようなきらびやかを併用することで、より磨かれたサウンドが生み出されます。



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肺活量には関係しない音の長さ 音は短くても長く聞こえる!


 中学生のころ、顧問の先生に「もっと1つ1つの音を長くしっかり吹け!」と言われ、じゃあ、どう吹いたらいいのかと思った私は、プロのデモ演奏をじっくり聞いてみました。ところがプロの方々も人間ですから、それなりにブレスはしているし、その瞬間は音が途切れます。なのに、曲全体としては何の違和感もありませんでした。なぜだろう?? 当時の私にはわかりませんでした。

 もちろんプロの方々はブレスが上手く、曲全体の中でのフレーズが意識されているためであることはわかります。しかし、ここではもう少しこの理由を分析してみたいと思います。次の図を見てください。


 まず@のようにボールが飛んできたけれど、ブレスという黒い建物で一瞬見えなくなったとします。皆さんはその次の瞬間に、どこからボールが出てくると考えますか?普通はAから出てくると思いますよね。これをブレスとその前後の音に置き換えて考えてみましょう。

 ある人が音@を演奏していて、ブレスをしたとします。ブレスの途中には音が出ないはずですので、その部分はブラックボックスにしてみました。音の流れ@を聞いてきた聴衆は、ブレスの後には音Aと音Bのどちらを期待するでしょうか?

 特殊な表現記号の前後は例外ですが、普通の人間は短いブレスの後に音Aを期待しますよね。そして期待通りの結果が得られると、それで満足してしまうのです。つまり、聴衆が感じていた音の流れが、プレーヤーのブレスという自分勝手な行動によって生じるブラックボックスに遮られても、次に出る音が期待通りのAであると、音が出なかったブラックボックスの部分のことを忘れてしまうのです。上手なプレーヤーは、Aの音を出すことが身についており、よほどの場所ではない限り、特に意識しなくても音やフレーズが途切れて聞こえることがないのです。プロは肺活量がめちゃくちゃすごくて・・・なんてことは、まずありません。



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フレーズのつながり 上手い人ほどよくサボる


 コンクールの講評などに、「フレーズ感がない」と書かれることがよくあります。フレーズとは曲中の音の流れのまとまりのことで、規則正しく数小節ごとになっている場合もあれば、そうではない場合もあり、またいくつかのフレーズが合わさって1つの大フレーズを構成している場合もあります。フレーズについて書いたらきりがなくなるので、ここでは、そのつなぎ目に注目してみましょう。フレーズ感がない理由の大半は、このつなぎ目の意識がないわけですから・・・

 フレーズのつなぎ目は、曲を聴いていれば大体わかりますが、特に中高生の皆さんは、その部分だけでもいいからスコアに注目してください。ほとんどの場合、つなぎ目には、前のフレーズの終わりを演奏する楽器と、次のフレーズを吹き始める楽器と、その両者をつなぐ楽器が存在します。わかりきっていることですが、自分の演奏するすべての曲のフレーズのつなぎ目がどうなっているか、把握している人はいないでしょう?フレーズのつなぎ目では、まず前のフレーズを演奏する楽器が最後の動きをして、それと重なるか最後の動きが終わった瞬間につなぎの楽器が音と音楽の流れを受け継ぎます。前後のフレーズほどは目立たないけれど、いなければ音楽の流れが止まってしまいます。そしてその流れを受け継いで、次のフレーズの音が動き出します。スコア上で、前後のフレーズとそのつなぎの音を色分けして塗ってみるとわかりやすいですよ。この主役の入れ替わりを違和感なくかつ明確に感じさせることが、「フレーズ感のある演奏」なのです。

 フレーズ内を充分に歌いきるのももちろん大事ですが、曲全体の中で重要なのは、このフレーズのつなぎ目を担当する人のセンスです。この人の演奏次第で、フレーズ感が決まります。まずは今演奏している曲について、フレーズの切れ目とそことつなぐ人をきちんと確認してみましょう。

 でも、この部分さえ上手くできれば、フレーズ内で少々サボっても結構ばれないんですよ。上手な人は自分の曲の中での役割を把握しているので、こういったポイントとなる部分以外では結構サボって(力を抜いて)いるものです。それがメロディーとなる楽器を引き立たせることになり、自分自身の体力温存にも役立ちます。

 

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いい曲はスカートめくりすれば分かる! ダメな曲は白いパンツを履いている!


 昔、曲の相談に乗ってくださった加養先生が、「いい曲って、音を聞かなくても、スコアを見ればなんとなくわかるんだよねぇ・・・。」とおっしゃっていました。もちろん先生ほどの方ですから、当然のこととなのでしょうが、私なりに何か法則性のようなものを見出せないかと、数年間、考えていました。「いい曲」という概念すら明確にさせないで、こんなことを書いても仕方がないのですが、私なりには次のような結論を得ました。

「いい曲は、スカートめくりをすると(下から覗くと)黒いパンツをはいている!!」

 もちろん印象にのこるすばらしいメロディーラインやサウンドの妙が、曲の彩りを決めていることは間違いありません。しかし、それを構成するいくつものフレーズが巧みにつなぎあわされていることで、曲が構成され全体の印象が決まっているのも事実。これを瞬時に見分ける方法。それがスコアのスカートめくりです!

 ある日、妙につまらない曲(何だか忘れましたが)を聞いているときに、「この曲、フレーズをつなぐ音符が異常に少ないな・・・」と思ったのでした。で、その曲のスコアを何気なく下から覗いてみました。そしたら・・・

 

 

 
フレーズ間に音があるのに、つながっていないから、下から覗くとところどころに白い穴があるんですよ。穴だらけのパンツをはいているのです。つまり、フレーズとフレーズをつなぐための音にまでしっかり配慮されておらず、そのまま演奏したら、フレーズのつなぎ目で音が極端に薄く感じたり、音の流れが途絶えてしまい、間が抜けた感じになってしまうということです!!あれっと思って、他の曲のスコアもいろいろ覗いてみましたが、曲のテンポなどには関係なく、名作(長年にわたり愛され演奏され続けている曲)には、そういう部分がない・・・。ゆっくりの部分でも、下から覗くと楽譜が真っ黒なんです。楽器間の音の受け渡しやそのタイミング、バランスが絶妙だからでしょうね。そして、このスコアを再びゆっくり正面から眺めると、黒かった部分から少しずつ音符の流れが見えてきました。目から鱗が落ちたような気がしました。

 いい曲かどうかを判断するためだけではなく、コンクール前のスコア研究の合間にでも、ちょっと実験してみてはいかがですか?今まで見えなかった素敵なフレージングが見えてきますよ。

ちょうど、飛び出す絵本を初めて見た時のように!!

 

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植物が教えてくれるフレーズ感 音の長さややフレーズ感を間違うと曲は枯れちゃうよ!

 

フレーズのつながり」や「いい曲はスカートめくりすれば分かる!」にも書きましたが、こうした曲や音のつながりについてのプロフェッショナルがいます。それは・・・いろいろな植物!!みなさんは、植物を真上から見たことがありますか?ありそうだけど、実は意識して見たことのある人は少ないのではないでしょうか・・・。ま、簡単なことなので、実際に見てみてください。ここでは説明のために写真を使います。 

クリンソウ  ナンバン   バジル


さて上の写真は、「クリンソウ」「ナンバン」「バジルの芽」です。横から見るとこんな感じ・・・。花もきれいなのですが、皆さんに見てほしいのは「葉のつき方」です。1枚の葉を「1つの音」または「1つのフレーズ」だと思ってください。音楽全体の中における、ある1つの音の意味や、ある1つのフレーズの意味を理解しないと、上の写真のようにお互いの関係が見えず、バラバラに聞こえてしまいます。そこでこれらを上から覗いてみます。すると・・・。


クリンソウ (真上から) ナンバン (真上から)  バジル(真上から)


お互いの葉がほとんど重なることなく空間を満たし、地面が見えないほどです。もしどこかの葉を1枚でもちぎり取ってしまうと、そこに空間が出来て地面が見えてしまう・・・。でも、もしこの「葉」がフレーズを構成する「音」であったり「フレーズ」そのものであったらどうなるでしょう?

 

 もし「葉」が一人一人の「音」だとしたら、たった1つなかったり、ほんの少し小さかったり短かったりするだけで、隙間の空いたサウンドになってしまいます。また、もし「葉」が1つの「フレーズ」だとしたら、曲全体がつながらなくなり、下手すれば音楽という植物が枯れてしまいます・・・(ToT)

 

 コンクールの講評で、「音が短い」「フレーズ感がない」と書かれたことはありませんか?私も若い時にはこれらの意味することがよくわかりませんでした。もちろんこれらの課題を解決する要素は「音の長さ」だけではありませんが、「音と心の問題」にも書いてあるように、少なくても本番では音は必ず短くなります。そんな事実や「音の終わり(リリース)の大切さ」(いい女は後姿が美しい・・・ん?)にも書いたような内容を参考にしていただくと、今年の夏はこれらの問題が少しは克服できるかもしれません。

 

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速くて細かな音符は「きゃりーぱみゅぱみゅ」 きゃりーぱみゅぱみゅがあなたのバンドを上手くする!


私はスタードラフトで「きゃりーぱみゅぱみゅ」を初めて見た時から、彼女が大好きになりました。顔はもちろんですが、計算しつくされた発言や言動が世間をなめているようで、その溢れる才能に、たまらない魅力を感じます。Lineの公式アカウントで、唯一登録している人でもあります。ま、そんなことはいいのですが、この「きゃりーぱみゅぱみゅ」、大好きなのに、上手く言えない・・・かならず噛んでしまう・・・。私だけではないはず。テレビ番組の司会の方すら、少なからず噛んでいますよね。

ところが・・・


これは何かの番組ネタなんだと思いますが、ドラえもんが道具を出す時のような感じで「きゃり〜〜ぱみゅぱみゅ〜」と言うと、だまされたように噛まずに言える!!知らなかった人は、まず声に出してやってみてください。
せーのっ!

ほらね、噛まなかったでしょ()

「ぱみゅぱみゅ」じゃないけれど、このテクニック(というほどのものではないかもしれませんが・・・)は、細かな音符を明確に演奏する際に応用できます。

細かな音符をかなり速いテンポで演奏することを考えてみましょう。はじめは音の並びを確認しながらゆっくり練習し、しだいにテンポを上げて指が勝手に動くようになるまで頑張ります。まあそこまでは自分で頑張ってください。でも指が回っているだけでは、全部の音がきちんとは聞こえません。まあ、何とかぱみゅぱみゅとは言えてるけど、少し噛んじゃってる状態でしょうか?そんな時に、あなたやバンドを助けてくれるのが、ドラえもんの「きゃり〜〜ぱみゅぱみゅ〜」なのです。

ドラえもんの「きゃり〜〜ぱみゅぱみゅ〜」では、「きゃり〜〜」の「〜〜」で十分に息と心のスピードが上がり、次の「ぱみゅぱみゅ」の最初の「ぱ」に息がしっかり入り発音も強くなるために、噛まずに言えるようになります。逆に、私たちが普通に発音すると「ぱみゅぱみゅ」と言えないのは、ぱみゅぱみゅと発音する直前までの準備不足からくる、最初の「ぱ」の勢い不足のせい・・・。つまり、楽器で細かな音符(ぱみゅぱみゅ)をはっきりきれいに演奏するためには、そのパッセージの前(「〜〜」に当たる部分)で息と心の圧力をしっかり上げ、最初の音(「ぱ」に当たる部分)をかなりしっかり発音することが大事なのです。あとは指が勝手に動くわけですから(そこまでは練習してね!)、ロングトーンをしているように息を送り続ければ、どんなに長く細かなパッセージでも、ぱみゅぱみゅぱみゅぱみゅぱみゅぱみゅぱみゅぱみゅぱみゅ・・・・・と言い続けることができます。

かなりまじめな気持ちで書いているのですが、ぱみゅぱみゅぱみゅぱみゅと何回も書いていると、どうも嘘っぽい文章に見えてしまいます()。でもブリティッシュブラスバンドやバリチューバアンサンブルを中心に演奏する私の楽譜は、細かな音符でいつも真っ黒・・・。「きゃり〜ぱみゅぱみゅの法則」がかなり役に立っています。

最後になりますが、この記事の「きゃりーぱみゅぱみゅがあなたのバンドを上手くする!」って副題、間違ってるかもしれませんね・・・。そう!本当にあなたのバンドを上手くするのは、「ドラえもん」なんですね。きゃりーぱみゅぱみゅこと、きゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅは、私が好きなだけなのかも・・・。


 まずはこの内容を、大きな声に出して音読してみましょう!噛まずに読み切ったら、あなたはきっとプロになれます!!!

 

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なぜ出だしがずれるのか? じいちゃんのカラオケは、出だしが合わない!


「行くぞ、じいちゃん!お得意の「北国の春」だ。3、4、ハイ!!(背中をたたきながら)。」
メロディーが始まって数秒後に、「しらかば〜あおぞ〜ら・・・」

 よく在りがちのほほえましい光景です(笑)。でもじいちゃんは、なんでいつも出だしで遅れてしまうのでしょう?じつはじいちゃんだけではなく、こんな人って中学や高校の吹奏楽部にも必ず数名いますよね。その理由と改善策を考えてみましょう。

 時速100kmの車にぶつかったら、まず間違いなく命を落とします。そこまで行かなくても、時速10キロの自転車に飛び乗っただけでも、その瞬間は体が後ろに持っていかれることでしょう。これは、慣性の法則が働くからで、静止している物体がそのまま静止し続けようとするためです。でもこれって、じいちゃんのカラオケと同じことですよね。じいちゃんは、3、4と言われている間に、テンポの準備ができなかったのです。

 ではどうすればよいのか?簡単ですよね。時速10キロで自分が移動していれば、同じ向きに移動している自転車の速度(相対速度)はゼロになるはず。つまり、予備拍で完全にテンポの流れをつかむことが、出だしがずれないポイントなのです。

 当たり前すぎるかもしれませんが、皆さんは普段の練習のとき、出だしを何に合わせていますか?指揮者の先生の1拍目の打点や、メトロノームのカチッという音ではありませんか?もしそうなら、音楽の流れに対する皆さん自身の相対速度はゼロ、つまりじいちゃんのカラオケと同じです。

 では何にあわせるのか?それは、指揮者の予備拍のテンポの流れであり、メトロノームのカチカチの流れに合わせるのです。音を出す瞬間に、音楽と同じ速さで歩いていることが大切になります。オーケストラの指揮者の打点と出だしが一致しないのは、テレビを見ていればわかります。団員が皆、指揮者が意図するテンポの流れの中にいるのです。だいたいメトロノームのカチッという音が、メトロノームの針がどこに来たときに出ているのか知っていますか?決して一番端ではありませんよ!!

 もうひとつ大事なことがあります。それは、音楽は1から始まるのではないということです。次の図を見てください。

4拍子で予備4拍の後にドの音を演奏するとします。その時、音のスタートであるドの音は、予備4拍の次の小節の1から始まるのではなく、図の@のように予備4拍の後の5から始まるのです。1から始まるという意識があるから、予備4拍が無駄になり、結局1からいきなりスタートすることになるわけです(図のA)。1からスタートするのは、やはりじいちゃんのカラオケです。

しらかば〜あおぞ〜ら、み〜な〜みか〜ぜ〜

 

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白と黒のバランス(楽譜は書道だ) 音を表しているのは音符じゃない!


 楽譜には五線の他に、音符や休符や表現記号など様々なものが書かれています。そして私たちは演奏する際、どうしても実際の音である音符や、表現記号ばかりに注目します。休符の存在をないがしろにして・・・。

 私は以前、ある書道家の方に、同じ文字を書いた2人の作品を見せられ、「どちらが優れているか?」と聞かれたことがあります。正直、全くわかりませんでしたが、その後に、「書道は全体のバランス、つまり白と黒のバランスが大事なのだ。」ということを教わりました。その言葉を聞いて以来、書道の作品を見ても少しだけ優劣がわかるようになりました。

 書道の黒と白に当たるのが、音楽の2大要素である、音と静寂(休符)です。そのバランスがいかに美しいかで音楽の価値が決まります。演奏する音の前に休符があるときには、その休符には必ず意味があり、その音を誘導しています。音の後ろに休符かあるときには、その音のリリースや次のフレーズへのつながりを教えてくれています。

 あまり抽象的なことを言っても仕方がありませんが、休符の重要性を意識させるために、「休符は休みではなく、静寂という音の長さを表す記号だ。」と言ってあげるといいと思います。だから曲が始まったら、休みなどはありません。また、静寂という音符を演奏している影で、必ず他の楽器が音という音符を演奏していることにも気づけるようになると思います。

 

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テンポが揺れる曲での出だしはどこ? 打点のない指揮は「あんたがたどこさ!


 マーチのようにテンポが常に一定な曲では、メトロノームの「カチッ、カチッ」に拍の頭を合わせればいいけれど、テンポが揺れる曲や極端にテンポが遅い曲などでは、いったい誰の何に出だしを合わせたらいいんだろう?誰もが1度は抱く悩みではないでしょうか?
下手なバンドは大体この疑問が解決されないままコンクールに臨み、ズレズレの演奏をするか、出だしが怖くて音が出せず、スカスカの演奏をするかで撃沈します。また、能力のない指揮者は、何とか自分の指揮に合わせてもらおうとして、無駄な予備拍を振ったり不必要でダメな指示を出したりします。皆さんも身に覚えはありませんか?
 よくオーケストラでは、「プレーヤーは指揮に合わせているのではなく、コンサートマスターの動きや指示に合わせている」という言い方をされますが、これは正しいけれどわかりにくい話。吹奏楽ではコンサートマスターが必ずしも第一バイオリンの場所にいるわけでもなく、コンサートマスターの役割もそれほど明確ではないため、あまりピンときません。それに、テンポが揺れる曲やゆっくりの曲では、マーチの指揮のような打点はありません。ではどうしたら・・・?
 究極的にはたくさんの音楽に触れて、音楽の流れを理解するしかないのですが、学生さんのバンドにそれを求めるのはほとんど無理。そこで、ちょっとボール(バレーボールやサッカーボールなど)を用意してみましょう。そしてゆっくり大きく連続でついてみましょう。同じテンポでボールをつき続けるためには、ボールが最高到達点に達する本の少し前からボールに触れ、最高到達点を過ぎたあたりから少しだけ下向きに力をいれるはず。するとその直後にボールが手から離れ、地面に向かって自由落下していきます。このボールの動きとテンポの流れは同じです。そして皆さんが楽器に息を入れ音を出すのは、ボールが手から離れる瞬間!! 嘘だと思ったら、ゆっくりな曲に合わせてボールをついてみてください。「おお〜っ!!」って思うはずですよ。
 ルバート系の曲の出だしが合わずに困っている顧問の先生がいたら、何はともあれ部員みんなで「あんたがたどこさ」でもしてみてください。ゆっくりのテンポでね!
 でも実際の演奏中には、ボールはつけません。そのときにはどうするか?
 答えは簡単です。プレーヤー全員がボールになればいいのです。テンポにあわせ体で楕円運動(というと一番イメージしやすいと思います。本当はメトロノームのような単振動の動きなのですが・・・。まあ、円運動も楕円運動も側面から見れば単振動だから同じことです。)して見ましょう。最初は音なんか出さなくてもいいですよ。この動きを合わせるだけで、音の出だしは絶対に合うようになります。自分の自然な動きと合わない瞬間に音を出すことは、実は不可能なぐらい難しいことなんですよ。コンクールなどでやたら動くバンドは嫌われてしまう場合もありますが、少なくても全国で金賞を取るような団体は、動きを見るだけでわかるものです。

一度試しに音量をゼロにして、全国大会のDVDなどを見てみてください!
あなたの耳で判断するより、正しい結果予測ができるかも知れませんよ(笑)




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世界中のメトロノームは間違っている? メトロノームは見ちゃいけない!!


 世界中のメトロノームはまちがっている?

 「メトロノームって、どこで音が鳴ってるかわかる?」
知人や指導に行ってる学校の生徒さんなど、いろんな人に聞いてみました。
「両端」「真ん中」という回答が多かったのですが、どちらも不正解。実は針が両端に到達する少し前に「カチッ」と鳴っているのです!ゼンマイという動力と振り子(メトロノームの針の最下部にはおもりがついていて、振り子時計と同じ原理で動いている)を用いてメトロノームを作ると、構造上そうなってしまうのですが、だったらどこにテンポを合わせたらいいのでしょう?

 熱血顧問の先生や生徒指揮の方が、マーチなどの練習でなかなかテンポが安定しない時に、「しっかりメトロノーム見て!」なんて怒っている姿を見たことはありませんか?課題曲にマーチを選んでしまった年などは、そんなシーンに10回くらいは出会うのでは?でも
メトロノームの打点は両端や真ん中じゃないから、それに合わせられる方が異常です!
これはメトロノームがおかしいのではなく、メトロノームという機械を正しく理解していない人間の問題なのです。メトロノームは見て合わせる機械ではなく、規則正しく「カチッ」という音を出すための機械で、針はその速さを変化させるためのおもりを固定し、下についているおもりとのバランスを調節するための道具でしかないのです!だから
「しっかり見て!」は、意味のない注意ということになります。


 メトロノームは音さえ出ればいいのか?

 だとしたら、針がなく音だけが出るメトロノームであればいいのかというと、なんとなく違和感を覚える人が多いでしょう。なぜなら、メトロノームの針の動きは、それはそれで指揮者の動きに近い感じがするからです。「音の科学的理解」の中の、「なぜ出たしがずれるのか?」という所で触れていますが、
じいちゃんのカラオケやバンドの出だしが合わないのは、音を出す前のテンポの流れをとらえていないからです。ある程度以上のリズム感を持っている人であれば、音だけが出るメトロノームでもテンポの流れをつかむことができますが、バンド全員ができる訳がありません(全国大会常連校レベルでもね!)。見てはいけないメトロノームの針にも、それなりの役割や意義はあるのです。さて、この問題を解決するにはどうしたらいいのでしょう…?


3 正しいメトロノームとは?

そもそも何のためにメトロノームを使うんでしたっけ?本番でメトロノームを使うわけではないですよね。おそらくその目的は、

@一定のテンポで演奏する。
A指揮者の代わりにテンポを刻んでもらう。

この2つであるはず。つまり指揮の動きに近く、なおかつ一定のテンポを刻むメトロノームであればいいわけです。そのため
指揮の動きを分析してみましょう。

普通、何拍子の曲であっても、指揮者の打点には次のお約束があります。

@指揮棒が最下点に来た瞬間が「打点」である。
A向きはどうあれ(上向きや下向き)、最下点での指揮棒の速度が最速になっている。
B打点と打点のちょうど真ん中のタイミングで指揮棒が最上点に達し、その時に上下方向の速度がゼロになる(1番高い地点で一瞬指揮棒の動きが止まる)。

この3つを満たす運動は…?やはり振り子なのです。振り子は「単振動」という運動で、簡単に言うと、等速で円を運動する物体を真横から見た(上下方向の動きだけに注目)したものになります。こんな感じ。

     
 等速円運動と、それを真横から見た時の位置関係    ⇒等速直線運動
単振動


まだ、指揮っぽくないですよね。
指揮の運動は、もう少し正確に言うと、
青い球の運動(単振動)の絶対値(マイナス部分がすべてプラスになる)です。こんな感じです。


 
 青い方が指揮の動き(単振動の絶対値)



※この図は、サイト「わかりやすい高校物理の部屋」内の、「単振動」のページよりいただきました。引用可であるが、著作権を放棄したわけではないとのことですので、この場を借りて紹介させていただきます。とてもわかりやすく説明してありますので、興味のある方はぜひご覧ください!



どうです?指揮っぽいでしょう!!
ゼンマイ式のメトロノームが見た目的にダメなのは指揮者の打点に当たる中央部で音が出るように作られていないから。つまり、指揮者のような動きをし、打点に当たる中央部に針が到達した時に音が出るメトロノームが、「見ても」「聴いても」正しいメトロノームなのです!!


 正しいメトロノームに近いアプリ

先に書いたように、ゼンマイ式のメトロノームでこの状態を作ることはできません。でも今の時代ですから、そんなアプリがないものかとありとあらゆるメトロノームアプリをダウンロードして試してみました。アプリに多いのは「両端で音が出る」というタイプのものでしたが、次の2つのアプリについてはかなり正しいメトロノームと言えると思いました。

@METRONOME STAR
 星が揺れてリズムを刻むメトロノーム。Yuki Yasoshimaという方がつくられたもので、無料のアプリ。とても可愛らしいデザインで、一見オモチャっぽいのですが、星の動きが最も速くなるき画面の中央部で音がなるように作られている。偶然かもしれませんが、作者が正しいメトロノームというものを理解して作られたのだとしたらとても素晴らしいと思います。使い勝手もよく、見て音も聴きながら個人練習をするには最適のアプリと考えます。いつも私の隣でユーフォを吹いている音大卒業の方も、このアプリを使用されていました!

ATRUE METRONOME
 このアプリには無料版と有料版があるが、有料版には「音の位置」を指定できる機能がついています。「センター」「エッジ」「コーナー」の選択があり、「センター」を選択すると中央部で音が出る理想のメトロノームになります。「エッジ」では普通のゼンマイ式のメトロノームと同じく、両端の少し手前で音が鳴り、「コーナー」では両端で音が出る。正しいメトロノームを追求したかなりマニアックな方が作られたと思われますが、正しいメトロノームとそうではないメトロノームを比較し理解したい人にはオススメのアプリです。


 身近にある正しいメトロノーム

 正しいメトロノームは、もっと身近はないのでしょうか?そしてそれを会得する方法はないのでしょうか?
ありますよ〜!
ここでもう一度、指揮者の打点を見直してみましょう。そしてそんな運動をするものはないか、じっくり考えてみましょう。

答えその1
「音の科学的理解」の中の「テンポが揺れる曲での出だしはどこ?」にも書いてあるように、
ボールを床につく運動です。文章の中では主にブレスのタイミングと打点の関係を説明していますが、指揮者の全体像はあえて見ず指揮棒の動きだけに注目すると、ドリブルしている時のボールの動きと同じになっているはずなのです。ということは、みんなでボールを持って、音だけが出るメトロノームに合わせてドリブルしてみる!なんていうのが、なかなか効果的な練習になるわけです。

答えその2
待てよ…。もっともっと身近な「正しいメトロノーム」がありますねぇ…。それは
あなた自身です。もう少し突っ込んで言うと、あなた自身の歩行です。歩行の際には上下動が伴います。前に出した足が地面に触れる瞬間にその足の下向きの速度は最高になり、その時に足音が発生します。そして次の足音がする瞬間(反対側の足が地面につく瞬間)に最初の足は最高点に達し、上下方向の速度がゼロになります。お〜、これこそ見た目にも音的にも最も正しく、指揮者の動きとも完全にシンクロした究極のメトロノームじゃないですか!!


6 テンポに正確な演奏をするためには?

ということは、
歩きながら曲を歌ってみるというのが最もいい練習方法と言えそうです。あれ?なんか話がおかしいですよね?もともとマーチって行進するための曲なのに、コンクールで上手に演奏したい!なんてことばっかり考えているものだから、歩くという本来の目的がわからなくなってしまっているのです。
マーチング経験者の方は歩きながら演奏することの大変さをお分かりでしょうが、何もそうしろというわけではありません。練習の行き帰り、通学途中、
ありとあらゆる「歩く」という作業を行う際に、自分の体の動きそのものが指揮と同じなんだと意識するだけで、ものすごい練習になるのです。マーチだけではなく、ゆっくりな曲や速い曲などいろいろありますが、たまにはそんなテンポで歩いてみるのもいいじゃないですか。

部員全員で音だけが出るメトロノームに合わせ足並みを揃える!!そんなことに真面目に取り組んでいるうちに、部活そのものの足並みも、部員全員の心のテンポも揃うはず
ですよ。



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音のスピード 音は遅い!同じタイミングでは出だしは会わない!


 音は、密度の小さい空気の振動として私たちに伝わるため、その速度は遅いです。秒速330mほど。そのため、校舎に反射して聞こえる音に時差を感じるし、やっほ〜と山に向かって叫んでみたりもしますよね。しかし、楽器を演奏する際に、これを考慮しなくてもいいのでしょうか?

 まず楽器そのものについて考えてみましょう。特殊なものを除き、管楽器の中で管が長いものとして、チューバやホルンが上げられます。調によっても違いますが、B♭チューバで約5.5m、F管のホルンで約3.6mもあります。面倒なので管の長さが5mの楽器があったとすると、マウスピースに息をいれ、唇が振動した瞬間から約0.015秒後に音が出ることになります。たいした差ではないかもしれません。

 次にステージの広さについて考えます。ステージにもよりますが、指揮者の場所からステージ上手側のチューバや弦バスまでの距離は、約10m。ということは、チューバとステージ上手にあるバスドラムまでの距離は20m。チューバの音がベルから出た後、バスドラムまで到着するのに約0.1秒。マウスピースに息を入れた瞬間からは、0.115秒かかることになります。瞬きの半分ほどの時間です。これはちょっと大きいですね・・・。

 もちろん、これは数字遊びのようなものなのでそれほど気にすることはないのですが、管が長くてステージの奥にある楽器は、確実に遅くなるということぐらいは、意識の片隅にあってもいいかもしれません。



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なぜ後半の団体は有利なのか? ホールの温度と音速の関係


 音のスピードは秒速約330mですが、正確には、秒速(331.5+0.6Tです。Tは温度ですから、温度が高いほど、音は早く進むということになります。これが、コンクールの出演順と成績に大きな影響を与えます。

 コンクールの話の前に、お寺の鐘の話をします。都会の方はわからないかもしれませんが、お寺の鐘は、昼間に比べ夜に聞こえやすいのです(日中は人間の活動による様々な騒音があることなどは無視して考えてください)。日中は太陽光の照射により、地表面が温められるため、上空より地上付近の方が温度が高い状態になります。音は、温度が高い方が早く進むので、地上付近で鳴らされた鐘の音は、上空に広がることなく地上付近に留まってしまいます。これに対し、夜には日中に暖められた空気が対流によって上空に移動し、地表付近よりも上空の方が高温という状態になります。すると音は上空に向かって速度を上げ、より遠いところまで到達することができるのです。

 これと同じ現象が、コンクールの後半に起こります。コンクールの後半になると、観客数も増え、ホール天井付近の温度が上がります。すると、前半には審査員の手前で失速していた音が、審査員そしてホール全体に響き渡るようになるのです。

 基準も定まらないため、前半の団体には高得点をつけにくいという心理的要素の方が高いのでしょうが、ホールの状態をも味方につけることができる後半のほうが、やはりいい成績が出るようです。もっとも後半には、観客数が増す分だけ、音が吸われるというマイナス要因もありますが・・・。


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無い楽器の音は、こうすれば聞こえる! 大事なのは音程、あとは実験あるのみ!


 大編成で楽器を沢山使うような曲をやる場合には、レンタルでも何でもして必要な楽器を手に入れてくださいね。ここでは、どちらかと言えば小編成でどうしても人手や楽器が足りずに困っているバンドについての話をしようと思います。
 「音の3要素」でも書きましたが、楽器の
音色の違い=波の形の違いでしたよね。
だから何かの楽器が無い場合(または奏者がいない場合)、その音を補うために、単純に他の楽器に音を足せば何とかなるものではありません。でも、同じ音域の音が出せる楽器を数本重ねて演奏することで、元の楽器がつくる波の形=音色に近い音を出すことが出来ます。
 音色ではなりませんが、例えばアボガドをわさび醤油につけて食べると「トロマグロ」の味になったり、ミートソースに納豆を入れると「肉」の味になったり・・・食べ物に関しては、組み合わせ次第でいろんな味に感じてしまうのを、体験したことがありますよね。それを楽器でもやってみればいいのです。
 しかし楽器でやる場合、音程が完璧に合っていることが大前提となります。音の3要素は、「音量=波の振幅の大きさ」「音程=波の数」「音色=波の形の違い」でしたよね。今は波の形を合わせたいわけですから、少なくても波の数は完璧でなければ、例の「うねり」が生じてしまい、関与している楽器の音がバレバレになってしまいます。また、音量に関しては、それぞれの楽器のバランスを絶妙にいじることでそれっぽい音に近づきますから、いろいろ工夫してみてください。好みもあるので、これは皆さんにお任せします。上手い料理をつくるのと同じで、なかなか楽しい作業ですよ!
 音程や楽器の組み合わせ、バランスの調整以外で使える方法としては、ステージ上での「楽器の位置(プレーヤーの場所)」、「奏者の体やベルの向き(音を飛ばす方向)」、「楽器のベルと楽譜との関係(トランペットやトロンボーン等の音を、どれぐらい楽譜に当て、どれぐらい直接ホールに向けて吹かせるか)」などなど、考えれば沢山あります。時には、違う音域の楽器を組み合わせたり(トランペットの変わりにトロンボーンの高音とか、ホルンの変わりにユーフォやバリトンのの高音とか)、打楽器まで入てしまったり(管楽器のアタックの形をそろえるために、シロフォンやビブラフォンを入れると効果的な場合もあります)など、いくらでも工夫できるはずですよ。
 ごちゃごちゃ書きましたが、何だかよく分からない人は、YouTubeなどで、野庭高校の「アパラチアの春」を聴いてみてください。特に後半のピアノの部分では、完璧な音程から生じる全パートの音があまりにも溶け合いすぎて、何の楽器が演奏しているのか全くわからない状態(完全に弦楽器の音に聴こえる!!)になっています。何度聴いても背筋がぞくぞくし、涙が流れるのは私だけではないと思います・・・。
 あまり明確な結論に至らず、すみません。でも完璧な音程とバランスと楽器の組み合わせ、そして奏者全員が共通の音のイメージを持つということが、聴衆にすばらしい錯覚(無い音)を与えるのだと思います!
 


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