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音と心の問題

タイトル

サブタイトル

内容

緊張打破 緊張とは? 緊張の良し悪し 交感神経と副交感神経は天邪鬼(あまのじゃく)
誰にでも出来る緊張対策 具体的に出来る対処法(天邪鬼を逆利用!!)
ミスの打破 ミスをする訳・・・ミスをする訳がなくなる話 好きと言おうとして、嫌いとは間違わない!
心と音形 出だしは必ず弱くなる!! 本番前に出だしは必ず弱くなる!
音は必ず短くなる!! 本番は夏の金魚・・・パクパク くっ苦しい



 


緊張とは? 緊張の良し悪し
交感神経と副交感神経は天邪鬼(あまのじゃく)


 「緊張は誰でもするものです。緊張を楽しめるようにならないと・・・」
 「イメージトレーニングを沢山する!常に本番の気持ちで・・・」

 緊張やプレッシャーへの対策として、一流の音楽家やスポーツ選手は、だいたいこのようなコメントをするように思います。しかし、楽器がふけないほど緊張してしまい、本番でボロボロになってしまう人にとっては、そんな言葉は焼け石に水なのではないでしょうか?

 緊張しなくなる方法はないのか? 緊張しなくなる薬はないのか?

これが本音ですよね。ですからここでは、分かりきっている精神論ではなく、少しでも役に立つ、生物学的対処方法をまとめてみたいと思います。

 まず、緊張という現象を正しく理解してみましょう。出来るだけわかりやすく説明しますから、しっかり理解してくださいね!
 
 私達には、運動神経や感覚神経とは異なる、体を無意識にコントロールする神経があります。これを自律神経といいます。私達はこの自律神経やホルモンの働きによって、体温や血糖量などの体の状態を常に一定に保っています(恒常性といいます)。この自律神経はさらに「交感神経」と「副交感神経」に分けられるのですが、私達を本番前に緊張させるのは、このうちの「交感神経」です。
 難しいことはあえて書きませんが、簡単に言うと、「交感神経」は活動時にはたらく神経で、「副交感神経」は安静時にはたらく神経です。例えば、目の前の獲物に飛びかかろうとするライオンを思い浮かべてください。獲物にいっきに襲い掛かるために、心拍数を上げて体の隅々の筋肉まで酸素を供給し、多くの酸素を取り入れるため呼吸が速く浅くなり、目がぎらぎらし(瞳孔が開き)、毛を逆立てて(鳥肌)・・・これらは交感神経のはたらきによるものですが、皆さんが本番前に緊張している状態と同じでしょう?つまり緊張するということは、これから起ころうとすることに対して事前に体の準備をする、大事な作用なのです。

 次に副交感神経のはたらきですが、交感神経のはたらきとは全く逆です。副交感神経が働くと、心臓や呼吸はゆっくりになり、瞳孔が小さくなって眠くなる・・・。眠ってしまっては困りますが、こんな状態で本番を迎えることが出来たら、いい演奏が出来そうですよね!

 つまり、副交感神経が働くような状況をつくれれば、私たちの緊張は和らぐはずです。しかし先ほども書いたように、自律神経は無意識に体をコントロールする神経なので、いくら「落ち着け!落ち着け!!」なんて思っても、かえってあせるばかりで落ち着くことは出来ません。それじゃ、対処法はないじゃないか!と思われることでしょう。しかし自律神経には1つだけ欠点があります!
それは、交感神経と副交感神経は互いに対抗的(拮抗的)にはたらき、同時にははたらかないということです。 天邪鬼という妖怪をご存知ですか?誰かが何かをしたり言ったりすると、必ずその反対のことをする妖怪です。交感神経と副交感神経はちょうど天邪鬼の関係にあります。
 例えば、獲物を前にしたライオン(交感神経の働き)が、急に眠くなったり(副交感神経の働き)しては大変ですよね。この性質を逆手に取ることで、私達は緊張にある程度対抗することができるようになります。

 簡単に言うと、「本番前に、副交感神経がはたらくようなことをしてやることで、交感神経のはたらきが抑制されて緊張が緩和される。」ということです。その方法は???????

 まあそんなに興奮しないで!交感神経がはたらいてしまいますよ!!
 緊張対策については、次の項目でゆっくりと説明しますね。


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誰にでも出来る緊張対策
具体的に出来る対処法(天邪鬼を逆利用)


 天邪鬼を逆利用するためには、副交感神経のはたらきを活発にし交感神経のはたらきを隠してしまうことが必要になります。復習ですが、副交感神経は「安静時」にはたらく神経でしたよね。もう少し具体的に言うと、食事中や食後に内臓のはたらきをコントロールしたり、呼吸を深くゆっくりにしたり、眠くなったりするのが副交感神経のはたらきです(他にもいろいろありますが)。要するに、本番当日もきちんと食事を取り、本番前に深呼吸し、本番前日はたっぷり寝る!!これが一番の緊張対策になります。

 しかしそんな結論では、期待して読んだ方は納得しないでしょう・・・。そこで自らの人体実験によって得られた一番の方法や失敗例を紹介させていただきます。

 食事をすれば内臓を動かすために自然に副交感神経がはたらきますが、本番直前にはなかなか食べ物を食べる時間がありません。歯磨きもありますしね。そこで、手っ取り早い方法として、本番の前に甘い飲み物を飲んだり、飴や氷砂糖をなめたりしてみてください。糖分は小腸の毛細血管から吸収され、30〜60分後に血糖量がピークに達します(正常な人の場合)。血糖量が上がれば、その値を正常値に戻すために、副交感神経がはたらき、すい臓(ランゲルハンス島B細胞)からインスリンが分泌されます。この副交感神経のはたらきがちょうど本番直前にピークになるように、飲み物や飴などを摂取する時間を考えるのです!

 個人差はありますが、夏のコンクールならチューニング室に向かう5〜10分前あたりが適当なのではないでしょうか?楽器をケースから出したら、ちょっと甘い飲み物などを飲み、軽くうがいをして準備完了!あとは本番に向けて、次第に副交感神経がはたらいていくはず?です。どうです?簡単でしょう(笑)。
 私も自分自身、何度も実験しましたが、何もしないよりはいいと思いますよ。私の場合、本番の1時間15分ぐらい前に、おにぎりやパンを食べ、さらに45分ぐらい前に飴などをなめたりしていました。こういう行為自体が自分自身を落ち着かせる効果そのものなのかもしれませんが、その辺の検証や人体実験は、皆さん自身、自分でやってみてください。

 ここで、注意を2つ書いておきます。
 1つ目は、あまりに緊張すると交感神経のはたらきが勝ってしまい、内臓の働きが止まって気持ち悪くなってしまうということです。下手すれば吐きます。そこまで緊張してしまう方もいるとは思いますが、そんな人は酒か薬でも飲んでください・・・。
 2つめは、その「酒」や「薬」についてです。
 私は以前、アンサンブルコンテストの直前などに、「酒」を飲んでいました(笑)。幸い私は酒に強いので、少しよっていたぐらいのほうが調子がいいのですが、たまに飲みすぎてしまうことも・・・。飲みすぎて指が回らないなどということもあったため、数年前から「酒」はやめました。そしたら、金賞が取れるようになりました(笑)。だから、成人なら「酒」を飲んでも本番も有りだとは思います。でも量はほどほどに!!
 また「薬」についてですが、安定剤などを服用すると、確かに緊張はかなり緩和されます。しかし必要以上にテンションが落ちてしまい、結果的にさえない演奏になったりする事の方が多いようです。口の中も乾きます(本番前の薬については使用したことがないので、知り合いに聞いた情報です)。安定剤は医師に処方してもらうしかないですが、「コンクールで緊張するから」なんて理由では無理でしょうね。風邪薬や鎮痛剤も簡単な安定剤のようなものですが、飲むと少しぼうっとしてしまうでしょう?少なくても私は、あの状態でいい演奏は出来ないですね・・・。

 結局・・・

 緊張対策の方法を書いてみましたが、私自身、本番の緊張感とその達成感が大好きでやめられないから今まで楽器を続けている気がします。自分の演奏が、審査員やプロの方に評価されるようになるとうれしいですし、それが自身にもつながりますよね。そうなるためにも、やはり最高の緊張対策はそれ以上の練習なのではないかと思います・・・。

 

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ミスをする訳・・・ミスする訳がなくなる話 好きと言おうとして、嫌いとは間違わない!


  

 何でもいいから、頭の中に言葉を浮かべてください。浮かべました?そしたらそれを口に出して言ってみましょう!せーのっ

 

どうでした?ちゃんと言えましたか?ここでミスされると話が続かないのですが・・・

私たちの行動は、ほとんどすべてが脳によってコントロールされています。脳で判断された事が神経を通して筋肉などに伝わり、行動になります。そんな当たり前なこと、言われなくてもわかりますよね。だから私たちは普通、言い間違いをしたり、予期せぬ行動をしたりすることが、ほとんどありません。逆に、言い間違えや予期せぬ行動をする時には、その前に、かならずその行動を引き起こした原因が、脳内にあります。これを「錯誤行為」と言います。錯誤行為は、集中力の欠如や、データ量が脳の処理能力を超える時などに起こりやすくなります。

これを演奏に置き換えて考えてみましょう。

曲の出だしが、「F」の音だとします。このFを確実に出すために、皆さんがやることは、頭の中で完璧な「F」の音をイメージし、鳴らしてみることです。それができたら実際に音を出してみましょう。頭の中の音が「F」なのに、DBなどそれ以外の音が出る方がおかしいでしょう?楽器で音を出し曲を演奏する時には、この作業が連続するだけです。だから絶対にミスをする訳がありません。ミスをするのは、技術的な問題ではなく、頭の中のミスなのです。「ミスしたらどうしよう?」とか、「曲のあの部分は、難しいから失敗するかも・・・」というように、出さなければならない音以外のことを考えるから、かえってミスをしてしまうのです!!

 

例えば凄く凄く好きな人に、ついに「好きです!」という時には、そのことを一生懸命に考えて「好きです」って言うでしょう? 少なくても「お前のことが嫌いだ!」とは言わないはずです。ミスをするのは、その曲や音楽を、本当に愛しきっていない結果なのかもしれませんね・・・。


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出だしは必ず弱くなる!!本番前に出だしは必ず弱くなる!


 

「出だし(アタック)の難しさ」の所では、出だしが弱くなる原因の1つとして慣性の法則をお話ししましたが、ここではもう一つの要因である「心」の問題を書いてみたいと思います。

 ほとんどの人は、本番前には少なからず緊張するものです。ごく稀に全く緊張しない人もいるようですが(強がりでそういう人も多いような気もしますが・・・)、緊張はプロ・アマに関わらず付きまとうものです。「緊張打破」の中でも書いた通り、これは人の交感神経の働きによるものですが、この交感神経の働きの1つに、呼吸が浅く速くなる。」というものがあります。本番前は心臓がドキドキし、息があまり吸えない状態は、普通のプレーヤーなら経験したことがあるでしょう。この状況を理解せずにそのまま本番に臨むと、息が吸えていないために、音の出だしは自分がイメージしているよりも必ず弱くなります!特に1番最初の音は絶対にそう!!!

 ですからコンクール本番数日前からは、曲の最初の音や楽章・フレーズの最初の音を少し強めに調整しておくのがいいと思います。本番に絶対に緊張しない鋼の心臓(や、剛毛の生えた心臓)をプレーヤーに要求するよりは絶対に効果的だし、強めに吹く方がプレーヤーにとっては楽です。楽になれば緊張も緩和され、出だしも自然に強めになるものです。

 コンクールの審査は、課題曲の最初の音だけで9割が決まると私は思います。是非、心理面まで考慮した万全な対策をご検討くださいね!

 


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音は必ず短くなる!!
本番は夏の金魚・・・パクパク くっ苦しい


 

 「緊張打破」の内容や「出だしは必ず短くなる!!」でも書いたとおり、緊張すれば交感神経が働いて、呼吸が浅く速くなり、息が吸えない状態になります。そのまま演奏すれば当然に出だしが弱くなるし、いつもは一息で吹けていたフレーズの途中で息が足りなくなって、フレーズは途切れるわ、音はひっくり返るわ・・・大変なことになります。

 音が短くなる原因は、呼吸だけではなく「音に対する意識」にもあります。「音の中身(コア)の充実」や「音の終わり(リリース)の大切さ」にも書きましたが、自ら生み出した音は、最後まで育て上げることで初めて豊かな響きとなります。ところが本番でテンパっていると、ちゃんと音を出すこと、つまり音を生み出すことだけに意識が向いてしまい、育て上げるところまでは気がまわらなくなってしまうのです。その結果、音は必ず練習時より短くなります。練習よりも音が長くなるプレーヤーやバンドは皆無といってもいいかもしれません(笑)。

本番中の多くのプレーヤーは、仕事が忙しすぎて家庭を顧みない親みたいなものです。そんな親に育てられた子供(音)が、審査員やその他の聴衆に受け入れられるでしょうか?どんなに忙しくても、自分の子供(音)がきちんと育つよう、最後まで面倒を見るようにしませんか?お互いに・・・。

 


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