カトマンズ周辺の博物館

ネパールの国立博物館は、スワヤンブーナートがそびえる丘に行く途中にある。ここはカトマンズの人たちに大変人気のある場所である。古代のものばかりでなく、近世の王朝の遺品やその頃使われていた武器の展示もある。ネパールが統一された時代やその後インドのイギリス植民会社と戦った時代に、どのような武器で戦争が行われていたかが良く分かり、とても興味深い。その他の展示品として、古代の神像、絵画、壁画などがある。ちょっと面白いのは人形や動物のぬいぐるみのコレクションだ。コインのコレクションでは、紀元前2世紀から、ネパールを支配した各王朝のコインが陳列されている。開館時間は、火曜日と官公庁の休日を除く、午前10時30分から午後3時までである。但し、金曜日は午後2時閉館となっている。


トリブヴァン博物館ハヌマン・ドカにある旧王宮の敷地内にある。この王宮は新王宮が建てられるまで何年にもわたって現シャハ(Shah)王家の宮殿であった。この博物館には現国王の祖父であったトリブヴァン(Tribhuvan)王の遺品が展示されている。トリブヴァン王はそれまで鎖国政策を取り独裁政治を引いていたラナ家と戦い、ネパールを開国した王として人々の尊敬を集めている。この博物館の近くにあるバサンタプールの塔の上からはカトマンズ市街を一望することができる。この塔からは、ある心やさしい王がカトマンズの家々から上る食事を用意する煙を見て、民の暮らしに思いを寄せたと言い伝えられている。近くには、現国王の父親であるマヘンドラ(Mahendra)王を記念した博物館もある。マヘンドラ博物館にもマヘンドラ国王の遺品とともにマッラ王朝の美術品が展示されている。開館時間は、火曜日以外の毎日午前10時30分から午後3時まで。金曜日は午後2時閉館となっている。

自然史博物館は、スワヤンブーナートの近くにあり、ヒマラヤの蝶類と、ヘビ、植物をなど展示している。ここは他の博物館と比べると、訪れる人が少ないが、他では見ることのできない貴重な種類の鳥や昆虫も展示されている。開館時間は、土曜日と官公庁の休日を除く毎日午前10時から午後4時までである。

カイザー(Kaiser)文庫 はネパールの観光客のメッカ、タメル(Thamel)にある。ここにはカイザー・シャムシェル・ジャンガ・バハドゥール・ラナ(Kaiser Shumsher Jung Bahadur Rana)による30万冊の図書が集められている。その多くはヨーロッパから特別に取り寄せたものであり、主として冒険小説やロマンスが多い。カイザー・シャムシェルはそのほとんどを読破していた事を誇りにしていたと言われる。小説以外には、密教に関する本から法学の本にいたるまで、幅広いジャンルの本がそろえられている。この庭には、現在文部省の建物がある。土曜日と休日を除く毎日開館している。

国立ブロンズ美術館(National Bronze Art Museum)にはカトマンズ周辺で作られた、900点あまりのブロンズ像が展示されている。ここでは、ヒンズー教と仏教の代表的な宗教芸術を見ることができる。最も古いものは紀元11世紀のものといわれている。主として、マッラ王朝時代以降の作品のものが展示されている。

国立アート・ギャラリー(National Art Gallery)はバクタプールの「55窓の宮殿」の中にある。この建物は、カトマンズ盆地で初めてガラスを用いたものとして知られている。エロチックなモチーフを用いた美しい絵画や、動物の絵が展示されている。また石の彫刻もすばらしいものがあり、一つの部屋には、ネパールのシャハ王家の歴史を描いたものがある。歴史的に有名な人物にまつわる品々や、ネパールでもっとも基調といわれる経典も陳列されている。ここは、金曜日以外は午前10時から午後4時まで、金曜日は午後3時まで開館している。

国立木彫美術館(National woodworking Museum)バクタプールのダッタトレヤ広場にある。ここを訪れる人は時として何を展示しているのかと戸惑ってしまうことがある。建物自体が展示品なのである。よく見ると柱に、窓に、扉に、梁に、精緻な彫刻が施してあるのが分かる。15世紀にさかのぼる彫刻の展示もある。それよりはるか昔から木造の建物があったのだが、今では残っていない。この建物は15世紀にヤクチャ・マッラ(Yaksya Malla)王によって建てられ、プジャリ・マートと呼ばれている。ここで見逃せないのは、建物の外側のにある最高傑作とされている孔雀の彫刻だ。開館時間:火曜日を除く毎日午前10時から午後4時まで。

ブロンズと真鍮博美術館(Bronze and Brass Museum)は、プジャリ・マート(Pujari Math)の近くの最近修復された建物の中にある。ここには、マッラ王朝時代からの庶民が日常使っていた道具や、裕福な人たちが使っていたものなどが展示されている。礼拝に使われた大皿、ランプ、水を入れる壷、角笛、など、当時のバクタプールの人々の日常生活をしのばせるものがある。また凝った形のインク壷を見ると、それを使った王様が書き物に凝っていたことが想像される。ある王様は、17の言葉を話し、17の言葉で詩を書いたといわれている。休館日:火曜日。午前10時から午後4時まで。金曜日は午後3時閉館。

アサ文庫(Asa Saphu Kuthi)はカトマンズの旧市街の西の外れにあり、カトマンズの中世の宗教と文学をうかがえる7千巻以上にものぼる手書きの書物が集められている。最も古いものは紀元1464年のものがあり、その多くはサンスクリットとネパールバシャ(ネワール古語)で書かれている。場所はニョカ・トール(Nhyokha Tole)の西、クランブル(Kulambhulu)。土曜日と祝日以外の午前11時から午後5時まで。電話: 223817

パタン美術館パタンのダルバール広場の旧王宮の中にある。ここには900点にものぼるブロンズ像と宗教的な品々が展示されている。古いものは11世紀にまでさかのぼり、そのいくつかはマッラ王朝以前のリッチャヴィ(Lichhavi)王朝時代のものであるといわれる。像のほとんどが釈迦、ビシュヌ、ロケシュワル(Lokeswar)、デヴィなど仏教とヒンズー教にまつわるものである。この美術館は最近改築され展示品も充実された。火曜日と祝日以外の午前10時30分から午後4時30分まで。電話: 521492

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