あっと言う間に第4回の医療支援は24日をもって終わった。
クリスチャンのこの国で、クリスマス直前までいるとは思わなかったが、ダンがいっていた。
「24年間のインドネシアによる強制併合の間は、ろくにクリスマスを楽しむなんてできなかった。そして独立宣言の昨年のクリスマスは街は荒れ果てたままで、人々は疲れ果てていた。とてもクリスマスおめでとう!なんて感じではなかった。だから今年が、ある意味でようやく訪れた”ほっとするクリスマス”なんだよ」
それでも街はまだ痛んでいる。
質素なクリスマスだと思った。
患者さんは数こそ少なかったが、来たるべき雨期のまえぶれで蚊が増えてきており、マラリアとデンギーが増加しはじめていた。ともに蚊で媒介される病気で、東ティモールはこれに結核を加え、現在も非常体制をひいている。
23日、バイロピテ診療所のクリスマスパーティがあった?
久しぶりにわいわいと、みんなが集まった。
いつものようにというか、桑山は歌わされてきたので、今日は特別イマジンを歌った。残念ながら東ティモールの人々はこの歌をあまり知らない。
ダンは意味有りげに聞いていた。
歌い終わると、
「お前の歌はいつ聞いてもハートがあるな。いい声をありがとう」
と言ってくれた。
ダンにとってもしばしの休息である。
今回は子ども用の薬剤を中心に運び込み、いつものように桑山は診療を補佐した。
そして今後、桑山やIVY(国際ボランティアセンター山形)はこのバイロピテ診療所の運営の約半分を担っていこうとしている。
来年1月には調整員を派遣する可能性もある。
いよいよIVYも事務所をこのディリに置くべき時期に来ているようだ。
来年の展開は大胆かつ迅速に・・・と思って第4回の支援を終了した。
ようやくバイロピテ入り 12/22
早速のトラブル。それは通関だった。
前回よりも格段に厳しくなっていたこの通関に、この大きな薬剤が引っかかってしまったのだ。
総キログラムはお薬が70キロを超え、人一人を運ぶくらいの荷物を運んだことや、全部で9箱にも及ぶそのカサの大きさに税関も驚いたのだと思うが、ひとつの国としてやっていくにはこのくらいの通関の厳しさがないといけないと思うと、これは「頼もしいこと」と思うようにした。
早速バイロピテのマネージメントをしているカナダ人弁護士のホーリーと書類を作って、バイロピテの発電機を設置しようとしてくれているオーストラリア人のティムとともに税関事務所へ申請。たった10分で許可が下りて、ティムとともにこの大荷物をバイロピテに運んだ。
子ども用のシロップが多いために、重く、カサが張ったわけだが、バイロピテにはいつも大人用の薬しかないことから非常に喜ばれた。
バイロピテはこの4ヶ月でまた一回り大きくなっていた。
産科部門が拡張され、厨房が出来ていた。事務部が新しく創られ、少しづつではあるがちゃんと発展している姿に驚いた。
その一方でアメリカのNGOがこのバイロピテの支援から完全に撤退(12月末をもって)し、先行きが怪しくなっている。
ホーリーももともとは人権監視としてきたボランティアの弁護士なので、バイロピテのマネージメントは続けられない。
有能なマネージメントをする人物と、資金的な支援をするNGOを探さないと、バイロピテは沈んでいってしまう危機に立たされている。
明日はクリスマスの前前日・・・。
町はもうすっかりクリスマスの装いだが、そのあまりの質素さに、やはり国として李脚していくまでの長い道のりを感じてしまった桑山であった。
明日は診療日
東ティモール バイロピテ診療所 第4次医療支援報告 12/21
何で自分はここにいるのだろう・・・。
ここはまだオーストラリアのダーウインの町である。
ひょんなことから仲良くなった日本食レストランの女主人、亜矢子さんの自宅に泊めてもらっている。 始まりは昨日(20日:水曜日)のカンタス航空のエンジントラブルだった。結局それで1時間近く遅 れた360便は、今日21日の朝、ブリスベンに着いたが、結局ダーウインへの乗り継ぎ便に間に合わ ず、今日のうちにディリに入ることが出来なかったのだ。
そしてブリスベン→ケアンズ→ゴーヴ→ダーウインと乗り継いで、ようやく夜の9時半にこのダーウイ ンの町に入れたのだった。
長い1日。
今ごろはディリにいるはずなのに・・・。
ブリスベンからバイロピテのアイダ(医学生)に電話したらずいぶん残念がられた。
でも明日の一番機でディリに入るので、ディリ到着は朝の8時20分だ。
すぐにバイロピテに駆けつければ1日仕事が出来る。
そして亜矢子さんに前もって買っておいてもらった多量 薬を目の前にした。
子ども用のシロップや目薬など、かさばるものが多いので、全部で9箱にもなっている。明日は飛行機 に載せる際、絶対エクセス(追加料金)がとられるだろう。
でも大事な薬だ。がんばって運ぼう。
これにはこれまでの「東ティモール支援ビデオ」の売上や、山形県村山市の青年会議所、福島県小高町 立小高中学校の支援金が使われている。
その使命としては十分すぎるほどの大きさだと思った。
明日はディリからの報告です。