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 ラファの街にあふれる子どもたち

アジナビーエ!(外人)  2003,5.24

 ーラファの子どもたちとの接点ー

 パレスチナの子どもはかわいい。どこの国でも、子どもはかわいいかもしれないけど、パレスチナの子は男の子も女の子も(一概には言えないけど)彫りが深くて、目が大きくてくりんくりんしている。そんな顔をした子がニコニコして寄ってくると、誰でもが「うっわー、かぁーわいー」とため息を付いちゃうほどだと思う。

 かわいいと思えるのはちょっとの間だけだ。

 町中を一人でウロウロしていると、必ず子どもたち、特に男の子の群が付きまとってくる。歩いていると、まずはどこからか「アジナビーエ、アジナビーエ(外人、外人)!」という声が聞えてくる。そのうち、一人の子どもが近づいてきて、習い立ての英語で話し掛けてくる。「ワッツ・ユア・ネーム?」「ワッツ・ザ・タイム?」「ワッツ・ディス?」(私は「モノ」かい!)最初は機嫌よく質問に答えるが、何度も同じことを聞いてくるから、答えるのが面倒になる。私の返事に関心があるわけじゃなくて、ただ私から何らかの反応を待っているだけみたい。(それとも、英語がまったく通じていないだけ?)

 男の子の集団はとにかくシツコイ。一人一人だと大人しいくせに、集団になるとすぐ調子に乗ってしまう。カメラなんてものを提げているともう、大変。付いてくる子どもが一人から二人、三人とアメーバのように増えていって、あっという間に集団と化する。そして、「アジナビーエ、アジナビーエ」「サウリーニ、サウリーニ(俺の写真を撮れ、撮れ)」と叫びながら、いつまでも私の後をつけてくる。

 今日は小学生の群。普段だと、人通りが多いところを歩くようにしているから、子どもがしつこく付いてきても、周りの大人が「ワラッ!(坊主!)」と怒鳴りつけてくれて、その隙に逃げることが出来たりするが、今回はあまり人が通らない道を歩いているのが大きな失敗なのだ。大人が見ていないところでは子どもたちは外人の私が言うことになんて耳を貸さない。それに、私はチビで童顔だから、彼らにとっちゃ年があまり離れていないって思われているに違いない。だから、いくらアラビア語で「やめなさい」と言っても、笑ってますますチョッカイを出してくるだけだ。

 そのうち、何人かの子どもはカメラのレンズを触ってきたり、カバンを引っ張ったり、ポケットを開けたり、前を歩いている私にわざと後ろからぶつかってきたり、肩をたたいたり・・・。さっきまで「かぁーわいー」と思っていた子たちがじわじわと「コ・ノ・ヤ・ロー」という気持に変わって行く。

 一人の子が私の胸に手を当てる。女性の胸になんか興味を持つ年齢じゃないくせに、「やったら彼女が必ず怒る」ということを分かってやってること。私は反射的にその子の胸倉を両手で掴んで体ごと持ち上げる。懲らしめてやる・・・と思っていたところに、大柄で恐い顔をした男性が急ぎ足で私達に近づいてくる。どこかで見たことがある人だ。そういえば・・・ダルウィーシュの事務所で働いているアーベッドじゃない。彼は仕事の途中、たまたま近くを通りがかって、何かが騒がしいのに気が付いたようだ。

 アーベッドは背が高いパレスチナ人の中でも極めて大きい。それに、かなりの筋肉質。さすがの子どもたちも彼の姿にはビビっているみたい。みんな一気に静かになる。私はへへーん、と告げ口をする子どものように、アーベッドに「コイツ、コイツ!」と子どもに指差す。現場を目撃した彼は、子どもに話をし始める。アラビア語だから何を言っているのか分からないけど、声がやけに優しいじゃないか。子どもは必死に「何もしてないよ」と否定する。結局、アーベッドはその子の頭を撫でて、「もういい、帰りなさい」と言う。子どもたちは全員、慌てて散らばって行く。

 「え?それだけ?うそでしょ?!」と思う私。ここは厳しいイスラム教徒の社会、幾ら子どもといえども見知らぬ女性に手を出すなんて決して許されない。なのに、あの子には随分甘かったじゃないの。外人の私だから甘かったのだろうか。車でダルウィーシュの事務所まで送ってくれるアーベッドに直接問い詰めたいところだけど、彼は英語が分からないし、私もそんな高度なことを聞き出せるほどアラビア語が話せない。事務所までの5分の距離が長く感じる。

 ダルウィーシュは私の不機嫌な顔を見ると、アーベッドに、「何があったんだ?」と聞く。アラビア語が部屋を飛び交う。ダルウィーシュは私の方を見て、「大変だったみたいだね」と慰めてくれる。でも私の怒りは収まらない。「あの子は年齢的にも正しいことを正しくないことの区別は出来るはずだし、私を怒らせようと面白がってやっていたのがすぐに分かるじゃない!なのに、アーベッドはなんでもっとその子をちゃんと叱ってくれなかったわけ?!」と私は訴える。ダルウィーシュはアベッドに私の質問を繰り返すと、アベッドは大きな体をすくめてアラビア語で何かを答える。

 するとダルウィーシュがいきなり大声で笑う。「なにぃ?!」と私がまた怒り始めると、ダルウィーシュはまだ笑いながら彼の言葉を訳してくれる。「彼はね、本当はその子をもっと怒鳴りつけてやりたかったんだけど、そんなところをユミにみられて[パレスチナ人って野蛮だ]なんて思われたくなかったんだってさ」

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