平成10年度 まちづくり市民会議報告書

山形ビューティフルコミッション(ビューコ『食』部会)としての
報告をホームページ上でご紹介いたします。

1.市民会議名 ビューコ『食』部会


2.テーマ『山形の食の情報発信を提案する』
2.テーマ『山形の食の情報発信を提案する』
旅をして訪れたそのまちがほんとうに魅力的でうれしくなり、とても元気になった体験
があります。それはそのまちの様々な物や事が魅力的である以上に、そこに住み旅人
に接したそのまちの人々が魅力的だったからです。山形を訪れる人々は山形に住む人
々のパーソナリティーや価値観を通じて山形の魅力を生き生きと感じ取ります。
 そこで私たちは、山形の『そば』をひとつの切り口として、山形の食の魅力を県外に向
けてあるいは来訪者に向けて情報発信するユニークな方法を考え、自ら実践してきまし
た。それは市民が主役となり『山形の魅力案内人』となって相手の方々と直接関わって
いく情報発信の在り方の実践です。今私たちはそれらの活動の輪を更に多くの市民の
みなさんに広げたい、そばに限らず他の山形の食にも応用したいと願い、これまでの活
動報告と提案を行います。

 

3.活動報告と提案

 ●提案コンセプト:情報発信のための楽しい『しくみづくり・ひとづくり』

@そば通アカデミー・ソバリエ養成講座

【市民・行政・業界が協力し、山形の魅力案内人(市民ボランティア)を養成するしくみづ
くりの提案】

山形のそばが全国的に注目されはじめた頃、来県者に山形のそばをもっと良く知っても
らおう、自分たちも山形そばを勉強しようと、平成4年、山形ビューティフルコミッションに
よるそば通アカデミー・ソバリエ養成講座が開講されました。第1回の認定式で15名、そ
の後10名を加えてこれまで25名のソバリエ(そば案内人)が誕生しました。
 このソバリエが、山形のそば屋さんのがんばりと共に全国のマスコミに数多く取り上げ
られ、山形そばの全国発信の一助となっています。
 当初3コース15店のインストラクター店も、昨年1コースを加え4コース20店となり、各
店の協力を得て現在62名の方が受講しています。
 今年中に10名程度のソバリエが誕生する予定であり、この予定者を含め新たに『ソバ
リエ協会』(仮称)を立ち上げたいと考えています。
 今後は、山形ビューティフルコミッションから独立した団体として、ソバリエ協会独自の
活動を行っていきたいと思います。
 楽しくわかりやすく素早い仕組みを市民・行政・業界の3者が協力して創り、運営して
いきましょう。


Aそばアドバイザー養成講座

【山形で開催されるコンベンションを活用した情報発信の提案】
【県外の方に山形の魅力を県外でPRしてもらう仕掛けづくりの提案】

 今年10月に、全国から1万2千名が山形に集い、日本青年会議所全国会員大会山形
大会が開催されます。この機会に山形そばの魅力を全国のそば好きJC会員の方々に知
ってもらうため、そばアドバイザー養成講座を大会のエクスカーションの一つとして開催し
ます。2日間で代表的な山形そばを味わい、合わせて山形そば職人によるそば打ちのデ
モンストレーションで藪・更科・田舎など全国の代表的なそばの見分け方を学んでいただ
き、山形鋳物製の認定プレートを授与します。全国に通用するそばアドバイザーを山形で
養成することを通じて山形を全国に情報発信しようという試みです。
 山形県人ではなく第三者が全国各地で自発的に山形のPRをしてくれたら素晴らしい効
果が期待できます。そこで山形で開催されるコンベンションを活用し、山形の魅力を学ん
でいただいた来県者に、ユニークで楽しい資格を差し上げては如何でしょうか。1回あたり
の参加人数を無理に多くしなくともニュース性は高いと思われます。


B『新そばと落語の夕べ』の開催

【食と伝統芸能を結びつけ、情報発信するイベントの提案】
【市民が楽しみながら学べる仕組みの提案】

 採りたての秋新そばを市民が一堂に会して食べる催しを考えよう。しかもすこぶる美味
しいそばを食べている山形の人々が至福の時を過ごしている様を、全国の人たちに伝え
ることが出来たら。ちょっと欲張りなこの案を現実の物にするには数々の課題を解決しな
ければなりませんでした。山形のそば屋さんの若旦那さん達の会である山形蕎麦研究
会の方々と共に取り組み、会合は深夜にまで及びました。山形の新そばが美味しいの
は疑う余地は無いのですが、どんな集まりにすればインパクトが強くなるだろうか?百人
を越える人たちに一斉にそばを供する場所選びや役割分担。参加費をどのくらいに設定
するのか。一番重要なのは催しの内容でした。そばの噺は庶民的でおもしろいぞと言う
ことで、蕎麦に纏わる噺だけの落語の会に決定。4人の落語家と交渉し謝礼を決め、ゴ
ーサインが出されました。チラシやチケットの印刷などあわただしくこなしました。
 当日は、120名のお客様をお迎えし超満員の大盛況。落語を聞いたあと、いよいよ新
そばを食すことになりました。『うまい!うまい!』あちこちから感嘆の声があがりました。
この模様はNHKの全国放送で紹介され、企画は大成功。放送では落語や参加した市民
の至福の時のインタビューもあり、山形のそばのすばらしさを全国に向けてPRすることが
出来たと思われます。


C会津そば観察学会ツアー

【情報発信先進地視察の提案】

 山形ビューティフルコミッションでは1996年の信州そば観察学会に続いて昨年12月
1日〜2日に会津そば観察学会ツアーを実施し、食文化の発信先進地域の取材を行い
ました。山形と同じくそばを食文化の発信材料にしている隣県の会津地区を訪ね、食文
化の発信状況を探り、私たちの活動にフィードバックするのが狙いです。
 会津桐屋(飯豊権現そば)唐橋宏さん
 大内宿・三澤屋(高遠そば)
 会津坂下屋・松林閣(そば懐石)
 山都町宮古 みずそばのなかじま(水そば)唐橋克己さん
 飯豊とそばの里センター(世界のそば料理の資料その他)
などを取材し、たくさんの知見を得ることが出来ました。
 会津桐屋主人 唐橋宏さんは『会津そばトピア会議』という官民一緒のネットワークを
作ったひとで、そばで地域興しをしている会津の19市町村で組織し、共同ブランドの『会
津そば』を売り出し、11日間にも及ぶ『そばまつり』等を仕掛けています。
 大内宿は、重要伝統建造物群保存地区に指定されている古い茅葺きの宿場町をその
まま利用して、会津文化の保存と継承を行い、人々がその中で実際に生活していること
によりタイムマシーンのような感覚を覚え、全国から見学者が絶えません。
山都町宮古地区は、水だけで食べる『水そば』を中心としたそば文化の展開をしていま
す。十数件のそば屋は、すべて兼業農家で、完全予約制で営業しています。
 飯豊とそばの里センターは、まさしくそば文化のミュージアムで、会津のそば文化の展
示のみでなく、世界中のそば文化に触れることができました。この施設は、観光誘客の
ため行政が資金を出したと聞いております。
 山形の都市型観光の振興の目玉として山形そばの核となるセンターを行政と市民と業
界が協力して是非実現したい物です。
 会津にはそば製粉所はなく、自家製粉があたりまえでした。またそば打ちはすべて熱
湯を使う昔からの湯捏ねで作られます。つまり生活に根ざした伝統文化そのもので、山形
の改良を重ねたそばとは文化の違いを感じました。
 県外先進地視察は自分たちの今の姿を知り、これからの活動の在り方を決めるのに役
立つので今後も続けます。なによりも県外の人に会い直接話をすることで新たな意欲がわ
いてきます。
 

Dインターネットによる山形そばの紹介

【新しいメディアを活用した双方向コミュニケーションによるPRの提案】

昨今、山形そばがテレビや雑誌の媒体で紹介される機会が多くなり、そば王国山形とし
ての認知度も徐々に高まってきました。しかしながらその内容は限られたものであり、あ
くまでも外部からの取材による一方向的な情報です。『やまがたそば』を山形市民の食文
化の一つとして位置づけ、日常生活の中から発せられる生の情報を市民の手でより多く
の方に伝え行きたいと思います。
 その手段として私たちは、近い将来ホームページを開設し『やまがたそば』の情報を発信
し、またインターネットの双方向性を生かしてより広く全国から意見を求めることが出来るの
ではないかと考えています。
 これまではホームページ開設の準備段階でしたが早期にオープンし、山形の素晴らしい
食の魅力を多くの人に楽しみながら伝えていきます。そして私たちも多くの刺激を受けて学
び、山形の食文化発展の原動力になりたいと思います。


4.共創のまちづくり 市民・行政・業界の役割

@フローチャート


A行政に対する要望(協力のあり方)

1.食文化発信グループのPR活動に対する援助を期待します。(たとえばパンフレット製作
  への補助金やPRスペースの提供など)行政よりもメリハリの効いた、よりインパクトの強
  いPRができます。
2.グループに対する行政の方の参加を期待します。
3.ひとづくり事業(ソバリエ養成など)に対する援助を期待します。(例えばバス代の補助や
  バスの提供など)
4.行政が主催するイベントや研究会などにグループを参加・参画させて下さい。
5.食文化発信の核となるセンターの企画・建設・運営について、市民と行政と業者の三者
  が協力して実現できるよう、行政の積極的な援助を期待します。


5.効果

1.ひとづくり:山形を愛し自分が行動することで山形をもっと良くしたい、役に立ちたいと思う
  人、実際に役立つ人が育ちます。
2.広がり:行動する人たちが多くの市民に良い影響を与え、巻き込んでいきます。他のテー
  マへの応用ができます。蓄積したノウハウが活用できます。
3.ファンづくり:県外に山形ファンが数多く生まれ、その人々がまた山形ファンを作ります。
4.ものづくり:産業界のものづくりのレベルアップを促進します。
5.まちづくり:市民が主体となって山形の魅力に更に磨きをかけ、その活動に行政と産業界
  が協力する共創のまちづくりの実践例となります。


6.私たちの今後の活動について

私たちはこれまで『山形そばの情報発信』を一つの切り口として活動してきましたが、今後
はこれに加えて山形の食にこだわったもう一つのテーマを見つけ、さらにチャレンジしつづけ
ます。